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インターネット遮断との戦い:デジタルファンド

2016年11月のブラックフライデーの日、ラッシュのウェブサイトでブラックアウトが起きました。その間の1時間、あらゆるコミュニケーション、ショッピングが遮断されました。これは、世界で起きている政府によるインターネット遮断の実態をみなさんに知ってもらうこと、そして体験してもらうために実施しました。それから1年が経ち、#KeepItOnキャンペーンで集まった21万3,000ポンド(約3,195万円)の助成先が決定しました。

インターネットへアクセスする権利(以下、デジタル権利)を守るために活動する個人や団体にとって、活動資金を見つけることは容易なことではありません。ラッシュの「デジタルファンド」は、自由なインターネットアクセス環境やデジタル権利を保護し、前進させるため、重要な活動に従事する団体を支援する基金です。

#KeepItOnキャンペーン(キープイットオンキャンペーン)では、デジタル権利の重要性を大きく掲げ、世界のリーダーたちに、自由なインターネットアクセス環境を守るよう呼びかける皆さんと共に世界中のラッシュで世界148ヶ国から計45,927名の署名を集めました。
これらの署名はキャンペーン後、デジタル権利擁護団体 Access Now(アクセスナウ)が、2016年12月7日にメキシコのハリスコで開かれたInternet Governance Forum (インターネットガバナンスフォーラム/IGF)で、政府代表者に届けられました。

そして、キャンペーン期間中に発売した限定バスボム「Error 404」の売上げがデジタルファンドの資金として、集まりました。

Access Nowのアドボカシーディレクターであるメロディー・パトリーは、デジタルファンドへの申請数の多さから、今日のデジタル時代において、表現の自由を守ること、自由で安全なインターネットアクセス環境のために戦うことに、社会がどれほど関心と懸念を寄せているかが伺えると話します。

「世界中のあらゆる場所に、デジタル権利を守るために声を上げる人がもっと必要です。また、この戦いにはあらゆるリソースが必要です。デジタルファンドは、こうした団体が必要とする資金を提供する大切な基金です。」

助成先は世界中に広がり、あらゆる技術を駆使してデジタル権利の様々な分野に踏み込んでいます。ドイツではTails(テイルズ)が、無料のソフトウェアを通してプライバシーと匿名性を保護する事で、オンラインの安全性を向上させています。一方、Social Media Exchange(SMEX/ソーシャルメディアエクスチェンジ) はレバノンのアルサールで、3Gや4Gのインターネットに2年間アクセスできていない人たちに、携帯用インターネットを復旧させるキャンペーンを行っています。SMEXによると、2017年9月についに携帯用インターネットが復旧したという事です。

デジタル権利においては、教育と啓発もカギとなります。オーストラリアではDigital Rights Watch(デジタルライツウォッチ)が国内のプライバシー権やその保護方法について短いパイロット映像シリーズを制作しました。世界の裏側では、Association for Technology and Internet (アソシエーション・フォー・テクノロジー・アンド・インターネット)が、自由なインターネットの原則について、ルーマニアの裁判官向けの教育コースを開発しています。

以上はデジタル権利保護のために活動している、団体のほんの一握りです。

【デジタル権利の守護神】

2016年にデジタルファンドを設立してから、59カ国から146の申請があり、ラッシュの代表者、Access Nowデジタル権利団体Electronic Frontier Foundation、インド・デリーの国立法科大学コミュニケーションガバナンスセンターで構成される審査パネルによって絞り込まれました。

審査の結果、デジタルファンドの助成先は以下の団体やプロジェクトです:

Association for Technology and Internet (ApTI/アソシエーションフォーテクノロジーアンドインターネット)、ルーマニア

自由なインターネットの原則について、ルーマニアの裁判官向けの教育コースを開発

Bahrain Watch(バーレーンウォッチ)、バーレーン

政府の監視やハッキングを受け、人権侵害につながる被害を被る湾岸諸国の重要なインターネットユーザーを支援する調査研究プロジェクト

The Centre for Intellectual Property and Information Technology Law (CIPIT/知的財産と情報テクノロジー法センター)、ケニア

インターネットの自由という概念について説明する動画の制作

Digital Rights Watch Inc.(デジタルライツウォッチ)、オーストラリア

国内のプライバシー権やその保護方法について短いパイロット映像シリーズを制作。

European Surveillance Case Law Database(欧州監視判例法データベース)、UK

欧州監視判例法データベースの開発と施行、判定の目録化、以前の秘密保護法、供述書

Facebook Tracking Exposed(フェイスブックトラッキングエクスポーズド)、UK

調査者にフェイスブックのアルゴリズム動向を元にデータを提供し、ユーザーに情報の質について見識を与えるツール。

The Hermes Center For Transparency and Digital Human Rights(透明性とデジタルにおける人権のエルメスセンター)、イタリア

主にジャーナリスト、人権NGO、活動家向けに作られた暗号化され、裏づけのあるウェブ認証。

Internet Democracy Project(インターネットデモクラシープロジェクト)、インド

国内の監視に関わるリスクに認識を高める新たなリソースを開発、促進する。

IPANDETEC、パナマ

デジタル世界と安全につながる方法について関心を高める、国内デジタルセキュリティキャンペーン

Library Freedom Project(図書館の自由プロジェクト)、USA

発展途上国での図書館の自由プロジェクトと協力している、検閲反対のトレーナーが必要な活動を支援。

Point of View(ポイントオブヴュー)、インド

女性の権利や性に関する権利のコミュニティ規模ワークショップを開く事によって、デジタル権利を女性の生活に近い物に。

Rudi International(ルディインターナショナル)、コンゴ

危険な立場にある団体に、デジタルセキュリティ、ICTポリシー&支援運動に特化したデジタル権トレーニングを提供。

Social Media Exchange (SMEX/ソーシャルメディアエクスチェンジ)、レバノン

レバノンのアルサールに住む人に、携帯用インターネットを復旧させるキャンペーン。

Tails(テイルズ)、ドイツ

セキュリティをベースにした操作システムのオープンソースで、テイルズの資料を翻訳するウェブのインターフェイス

YODET(ヨーデット)、イエメン

国内でのインターネットアクセスと使用についての研究、インターネットの状況について見解を提供

【「中断」を中断させる】

#KeepItOnの署名が提出されてから1年が経ちましたが、遮断はいまだ増え続けています。Shutdown Tracker Optimization Project (STOP/遮断追跡適正化プロジェクト)によると、2017年の最初3四半期で、世界で61回のネット遮断が起こりました。2016年の遮断数は年間55回でした。

「インターネット遮断は、人権侵害の初期シグナルである事が多いことからも、遮断回数が増加は軽快すべきです。」とメロディーは話します。

深刻な事態が起きた際に家族に連絡が取れなくなるなど、インターネット遮断を指示した政府は人の安全を脅かします。オンラインで事業運営が出来なくなれば生活が危機にさらされます。救急サービスがきちんと機能しないと、危険にさらされる生命もあります。

「状況は急速に変化してきており、今までよりクリエイティブな方法、そして言い訳のように、インターネットを遮断する国が出てきています。ペースが速く、めまぐるしく変わる世の中で、このデジタルファンドの助成団体は新たなコラボレーションや活動家、団体に支援を提供しています。」

インターネット遮断は、ユーザーが直面している権利の侵害のひとかけらに過ぎませんが、デジタルファンドが支援する団体の活動が、デジタル権利を守る次の一歩になります。

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