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Field Notes: 世界にあふれる危険な電子廃棄物を安全に再利用するには?

私たちが普段生活の中で便利に使っているスマートフォンやパソコンが廃棄されると「電子廃棄物」としてゴミになります。人体に悪影響を及ぼす有害物質を含んだこのゴミを安全に再利用するためのチャレンジは、地球上で最も汚染された「電子廃棄物の墓場」と呼ばれる、ガーナのアグボグブロシーという場所ですでに始まっています。メディアの取材もほとんど行われていなかったこの場所で、今、何が起こっているのか。私たちの便利な生活と引き換えに、電子廃棄物がもたらす諸問題から目をそらさず、解決のために立ち上がった人たちのチャレンジを、現場からLushTimesのフォトジャーナリスト、リース・ピカリングがレポートします。

リース:フォトジャーナリストである私は、過酷な環境で仕事をすることも多いのですが、世界中の社会問題や環境問題を写真で記録するとき、シャッターを押す前には深呼吸をし、心を落ち着かせてから、目と鼻を使って目の前の情景を目に焼き付けます。

今回、ラッシュのバイヤーのギャビー、映像チームのジョーダン、エリカと一緒に訪れたガーナのアグボグブロシーは、家電製品やパソコンなど大量の電子廃棄物が集まる「世界最大の電子廃棄物の墓場」と呼ばれる場所です。この場所でどのような電子廃棄物の処理方法が行われているかを調査し、現在この場所で行われている廃棄物処理方法に代わる研究に取り組むNGOグループに会うために、私たちはこの場所に足を運ぶことにしました。

アグボグブロシーに到着すると、プラスチックが燃える臭いや車のタイヤを燃やした時に発生するようなガス臭い悪臭が漂っていました。私は早速シャッターを押し始め、同世代の若者がプラスチックのケーブルに火をつけている姿を写真におさめました。彼らからしてみれば、資源として販売し、収入を得ることができるプラスチックケーブル内の金属を取り出すために、手っ取り早い方法を実践しているのみです。私はその行為に対して反対する立場にはいませんが、有害な物質が空気中に排出され、廃棄物を燃やしている人自身がそれを吸入すれば、健康被害が生じることは容易に想像できるでしょう。他にも、古いエアコンを分解したり、空の冷蔵庫を寝床にしている人も目にしました。彼らに共通しているのは、電子廃棄物を加工して収入を得て生計を立てているということです。

アグボグブロシーで撮影をしていると、歯がガタガタいうほどの音が鳴らしながら、冷蔵庫のモーターをハンマーで分解し、手際よく銅コイル材を取り出している一人の男性を見つけました。彼は、専門的な技術を持った職人であり、電子機器から価値ある資源や素材を取り出し、それを売ることで家族を養っています。この「電子機器の墓場」で行われている機器の焼却方法は、見た目よりもはるかに複雑なものでした。

焼却して取り出すことができるのは、銅やアルミニウムばかりではありません。アグボグブロシーで生計を立てる人たちは、冷蔵庫の断熱材に火をつけ、それを燃料としてタイヤに引火させ、ゴムの中にある金属のベルトを取り出します。カバーを燃やすと金属を迅速に取り出すことができますが、有害ガスの発生という焼却問題には歯止めがかかりません。

アグボグブロシーは、電子廃棄物の焼却による煙が充満していますが、この場所で充満しているのはそれだけではありません。土壌汚染、大気汚染、汚染水、劣悪な労働環境に反して、アグボグブロシーは起業家精神に溢れる場所でもあります。アグボグブロシーで働く人たちの起業家精神に投資をしようと決めたグリーン・アドボカシー・ガーナのようなグループに会うために、私はこの場所に来ましたが、ここで生き残っていくことは容易なことではありません。当然といえば当然ですが、この廃棄場の代表は、現場で働く人たちが写真に撮られることを嫌がり、何年もの間、この場所に存在する起業家精神にメディアの目が向けられることはありませんでした。そんな中、2015年6月、ガーナの政府軍が後援するブルドーザーがこの場所に侵入し、2万人以上の帰る場所が奪われるという惨事が起きました。政府軍はリサイクル施設を建設するためだと言っていましたが、それ以降建設は進んでおらず、アグボグブロシーで働く人たちも引き続きこの地で仕事を始めました。

現地を訪れ、ここで生活する人たちと話をしてみて分かったことがあります。一つ目は、欧米の消費者は長い間、自国で出した80%の電子廃棄物はアグボグブロシーのような場所に送られているということを耳にしていましたが、ここに集まった廃棄物の多くは地元で出たものであり、輸入されたものではないことです。二つ目は、ガーナの人たちにとっては、中古の電子機器を入手し、その電子機を修理して、または分解して取り出した資源をアップサイクルして生活の中で使えることが大切だということです。

それから、私たちは2009年からアグボグブロシーの電子廃棄物問題に関わり続け、汚染状況や地元住人の暮らしを改善したいと思っている現地の草の根団体、グリーン・アドボカシー・ガーナを訪問しました。彼らは、廃棄場についてネガティブな報道を見て、 自身への健康被害は二の次に、廃棄物を焼却してお金になるアルミニウム、銅などの資源を手に入れようこの場所で生計を立てる人たちの状況や地元アクラ市への経済効果について、もっと知ってもらいたいと思っています。電子廃棄物のリサイクルはビジネスになり、従来の廃棄物焼却方法に変わる金属を取り出すより効率の良い方法を考えることはビジネスチャンスにもなり得るからです。

グリーン・アドボカシー・ガーナのプロジェクトマネージャーであるベネットがアグボグブロシーの中心部にある居住地区を案内してくれました。青い輸送コンテナを3つなげた建物があり、これは自分たちで建てたものだと話してくれました。中庭には大量のポリ塩化ビニルが集められていました。それから、コンテナ内に置かれたケーブル除去機械からを見せてくれ、中庭に置かれたポリ塩化ビニルは、機械から出た残余物だと説明してくれました。そして、2人の労働者が実際に機械を使ってケーブルの除去方法を実演してくれました。ケーブルを機械の上に置き、スイッチを入れると数秒で綺麗なアルミニウムが取り出され、加工され、重量測定までして、一連のプロセスが完了です。廃棄場で働く人たちは、小額でこの機械を利用することができ、時間と資源を節約でき、「何よりも自分の健康を守ることができる」とベネットは話してくれました。

グリーン・アドボカシー・ガーナがここまで来るには時間がかかりましたが、試行錯誤を続け、廃棄物の内側にある様々な金属を摘出する機械の開発にたどり着きました。焼却の代わりにこの機械を使うことで高品質な金属を高い割合で取り出すことができるようになりました。代わりに、機械を使うことで出る中庭に積まれたポリ塩化ビニルを含むプラスチックをどうするかは試行錯誤中です。コンクリートのブロックへ流し込んでみたり、洗浄した後に他企業に輸送され、細かく裁断され、コンクリートに混入された後に歩道に使われてもいるようです。彼らはこの問題に向き合いながらも、次のステップとして、今度は機械を動かすためにソーラーパネルの導入を模索しています。

アグボグブロシーで大量のケーブルを手に入れた人たちは、定期的にケーブル除去機械を使いますが、少量のケーブルの場合は焼いて金属を取り出す人もまだいるのもまた現実です。今回、現地に足を運んで分かったことは、グリーン・アドボカシー・ガーナのプロジェクトをより収益性のある事業にすることで、この場所で働く人たちがこの機械を無料で使うことができるということです。ケーブル除去機械を使えば、焼却する必要もなくなります。グリーン・アドボカシー・ガーナが他の事業やプロジェクトに資金を使えるまでになれば、彼らの基盤はさらに強固なものになるでしょう。

 

Lush Timesは、世界中の様々なストーリーが絡む、デジタル倫理の現地調査を始めました。長期的な解決策としては、自分たちのエシカルなハードウェアをクローズド・ループの中で生み出し、リサイクルすることです。それまでは、この無駄の多いプロセスにおいての被害予防が、環境と健康影響の削減にとって大切になるのです。

 

LUSH ラッシュ ガーナ アグログブロシー 電子廃棄物 廃棄場
LUSH ラッシュ ガーナ アグログブロシー 電子廃棄物 廃棄場
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