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Field Notes: ローズウッドの跡に違法伐採者あり

ラッシュのバイイングチームからの最前線レポート。ラッシュのヘッドバイヤーであるサイモン・コンスタンティンから、他社が手間もコストも節約しようとする中で、ラッシュのエシカルな原材料の調達において、今まさに起こっている問題についてのレポートです。

木材の束が静かにアマゾン川の支流を下っていきます。先住民の家族は、木材の上に乗って移動しながら、この貴重な貨物を近隣の町へ運ぶこともあります。この巨大ないかだのような木材の束は、たくさんの硬材の集まりで、無差別に伐採され、200本で50ドルという安値で売られることもあります。

私がこうした木材の正しい価値を知っているのは、この中には数年前にラッシュが伐採権を有する森林から盗まれたものが含まれるからです。その6,000ヘクタールにおよぶペルーの熱帯雨林を保護するための伐採権を私たちは取得していました。2013年、違法伐採者がすでにこの近くに迫っており、その区域を皆伐から守る唯一無二のチャンスがあった我々は、ニュージーラントの首都であるオークランドの面積に匹敵するサイズの森を慌てて入手しました。

ここは絶滅の危機にあるローズウッドの自生地でもありました。ローズウッドは、ストラディバリウスのバイオリンなど、高級な木工品に使われることで知られていますが、ローズウッドから精製されるエッセンシャルオイルは、そこまで知られていないかもしれません。ラッシュがローズウッドオイルを使っている理由は、その高品質さだけなく、この木を絶滅の淵から救いたいという両側面があります。

2013年、我々はローズウッドの持続可能な伐採計画をスタートさせました。これにはポラーディングと呼ばれる剪定方法が行われます。これは、木を人間の胸の高さに伐採することで、木が成長し続けることを促進します。この技術を正しく取り入れることで、木の寿命を延ばし、木の命を奪うことなく、森林が収入をもたらしてくれます。慎重に剪定がされると、土地には生命が広がります。我々がこの場所を訪問した際には、ジャガーやバクの足跡、アナコンダの子どもがいた形跡が道にたくさん残っていました。この状態は、ほぼ人の手がついていない状態か、それよりも豊かなほどです。

我々は、すぐに先住民であるシピボ族や地元のコミュニティから人を雇い、「マザーハウス」を建設しました。新境地を切り開いているという感覚がありました。しかし、アマゾンはその美しさと同じだけ危険で、我々の取り組みが現地のコミュニティに歓迎されないこともありました。訪問後、すぐこう言われました。

「よそ者は去れ。さもないと銃弾を食らうぞ。」

これは伐採者が残した警告メッセージで、朽ちた木の幹に荒っぽく彫られていました。それでもなお、我々は正しいやり方を貫こうという決意がありました。それから間も無く「マザーハウス」の祝賀落成式が開かれ、地方自治体の代表者たちも参加をしました。そこでは、その先20年に渡って区域内の木を区画に分けて剪定伐採していくプランを策定しました。区画内では必要に応じて適切な収穫を行い、その後20年は同区画では収穫を行わないというプランでした。

実際、あとどれほどの野生ローズウッドが残されているのか。この問いを投げかけると同時に、管理区画外のプランテーションで、比較的新しい収穫技術の必要性を確証しなければなりませんでした。また、これはCITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、ワシントン条約)がペルー産ローズウッドの取引に規制を強めた時期と重なりました。私たちは待つしかなく、待ちに待ち続けました。規則に従い、時間をかけることで信念を貫く形で計画を実行できるという希望を持ちながら、これは地元コミュニティや国際ビジネス、森林のためになることと信じ、この区域にかなりの金額を我慢強く投資しました。

この間、我々はこの区域を守らなくてはなりませんでした。違法伐採がはびこり、2015年には他のエッセンシャルオイル企業がローズウッドを求めて同区域を偵察しているという噂も耳にすることがありました。それだけが理由ではありませんが、そこから違法伐採が始まりました。近隣エリアや我々の区域からも、ローズウッドが姿を消していきました。CITEの禁輸措置前に合法に蒸留したオイルを送っていた時は、港湾関係者は我々のオイルのことを、「香りからいってマジョラムオイルだ」と言いました。我々はそれが本物のローズウッドだと言っても、関係者の鼻には全く違うオイルの香りであり、疑われる元となったのです。

最近になって、あるニュースが届きました。直売エッセンシャルオイルの大手企業グループ、ヤング・リヴィングが立ち上がり、全てを白状したのです。同社はペルーからローズウッドを仕入れていましたが、それが違法に入手されたものであったことことが明らかになりました。アメリカ司法省は、76万ドルという高額な罰金を同社に課し、その内12.5万ドルをローズウッド保護のために使うよう要求しました。

我々が目にした伐採は、ヤング・リヴィング社に責任があるのでしょうか。その答えは誰にも分かりません。エッセンシャルオイルの業界では、このような訴訟を目にすることはほとんどありませんが、これは警告と捉えられるべきことですです。害がなさそうに甘く香る素材に潜む多大な影響に、消費者や関係者はもっと気づくべきなのです。

ラッシュでは、きちんとリサーチを行って慎重に調達をすること、原材料や素材の存続性が危険にさらされやすいことからも、それらについて徹底的に理解を深めることに時間を費やしています。周りのアプローチが成功しているように見える中、それと異なる方法を選ぶのことは容易な覚悟ではありませんが、近年のニュースが証明するように、世界は本当に良い方向に進んでいるのかもしれません。

 

写真:朽ちて倒れたローズウッドがオイル抽出のために刻まれる状態

 

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