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Lush Prize 2018 受賞者の発表

Lush Prize 2018の授賞式が現地時間の11月16日、ベルリンで開催されます。動物実験反対の戦いは今後も続きます。

 ブラジルにおける“まばたきできる目”の技術開発、シリコンチップ、科学教育の変化に共通することは何でしょうか。これらはすべて動物を使用した安全性試験に終止符を打つ取り組みへの功績を認められ、Lush Prize 2018の各分野で受賞した多くのプロジェクトのほんの一例です。

 ラッシュとエシカルコンシューマー・リサーチアソシエーションが2012年に共同で設立したこのプライズは、動物を使用した安全性試験をなくすべく戦っている、幅広い分野のプロジェクトに授与されています。年間の賞金総額が最大35万ポンド(約5250万円 ※)のLush Prizeは今年、場所をベルリンに移し、授賞式が開催されます。

【サイエンス部門】

 2018年のサイエンス部門は、ペンシルバニア大学のBIOLines Research Groupに所属する韓国系アメリカ人のDan Dongeun Huh教授による、人工の目がまばたきする新技術「Eye on a chip (眼機能チップ)」に贈られます。この技術が、一般に眼刺激性試験に多く使われるウサギの代わりに使用されるようになれば、常に大きなインパクトになるでしょう。「Eye on a chip(眼機能チップ)」はヒトの細胞でできており、涙腺もまぶたがあります。そして人間や動物と同じように、異物に対してまばたきで反応します。

「ここ5年間で、生体機能チップが動物実験に代わる可能性に対して関心が高まっているのを見てきました。Huh教授によるまばたきする「Eye on a chip(眼機能チップ)」は、審査員たちの想像をかきたててくれたのです」

 Lush Prizeのディレクター、ロブ・ハリソンはこのように語りました。

「目やその他の人間の臓器をチップの上に再現した研究は、科学における動物の利用の完全な代替技術がどういったものなのかを見せてくれます」。

【ロビー活動部門】

 ロビー活動部門に選ばれたのは、ブラジルのBrazilian Network for Humane Education (RedEH)です。この団体は、科学教育において大きな変化を起こすために、イギリスの非営利団体であるInterNICHEとともに問題に取り組んできました。彼らは、教育が動物実験に対する科学界の在り方そのものに歯止めをかけることを願っています。彼らは授業内での残酷な動物実験を禁止するようブラジル政府を説得するために団結しました。成果として、ブラジルでは教育現場で解剖実習などの生き物を使用した実験を禁止する法律が2019年に施行されることになっています。

【世論喚起部門】

 米国での動物実験反対の戦いにおける大きな功績の数々が認められWhite Coast Waste Project(WCW)のJustin Goodmanが、2018年の世論喚起部門を受賞しました。

「米国政府は動物実験における世界最大の資金提供者です」とWCWは説明します。「納税者は政府が資金援助する無益な動物実験に対し、お金を無理やり払わされるべきではありません」。

 WCWの功績のひとつに、バージニア州の法案を守ったというものもあります。この法案は国税を犬や猫の実験の資金提供に使うことや、アメリカ食品医薬品局のニコチンテストに猿の赤ちゃんを使うことをやめさせるものでした。

【トレーニング部門】

 新たな科学の進歩は動物実験をなくすために必要不可欠ですが、新しい技術に関するトレーニングを施すことも同様に大切です。2018年のトレーニング プライズの受賞者であるPharmacology and Cellular ToxicologyのLaboratory of Education and Researchはまさしくそれを行っています。このチームが受賞したのは、南米の業界、学会、規制委員会にいる研究者たちに向けたトレーニングを施すプロジェクトと、また大学生・大学院生たちに向けて導入した動物を使わない技術が認められたからです。

【若手研究者部門】

 今年も世界中の若い研究者たちがプライズを受賞しました。動物を使わない実験が行われる世界を作れるよう次世代の科学者をサポートするためです。その一人は動物実験の代わりにシリコンチップを使う方法を提唱するオランダのNicolas Gaio氏です。

 Lush Prizeが最初に設立されたとき、動物実験を終わらせる解決策は一つではないということにチームが気付いたとロブは言います。「私たちがしなければならないことは5つありました。動物実験を終わらせるために変えなければならないこと、その目標に合わせて5つの賞を設けたのです」と彼は説明します。

 動物実験を終わらせることができる5つの分野で活動する人々を集結することの必要性は設立当初からの狙いでもあります。その5つが、ロビイスト、科学者、トレーニング提供者、世間の認知を高める人、そして若き科学者です。

 

Lush Prize 2018 受賞者一覧

サイエンス部門:
Professor Dan Dongeun Huh, The BIOLines Research Group, University of Pennsylvania (アメリカ)

ロビー活動部門:
Professor Rita de Cássia, Brazilian Network for Humane Education (ブラジル)
Dr. Jeoung Ae Han, Member of National Assembly (韓国)

世論喚起部門:
Justin Goodman, White Coat Waste Project(アメリカ)

トレーニング部門:
Dr. Marize Valadares, Laboratory of Education and Research in Pharmacology and Cellular Toxicology (ブラジル)

若手研究者部門アジア:
Dr. Guan-Yu Chen, Institute of Biomedical Engineering, National Chiao Tung University (台湾)
Mr. Kota Toshimoto, RIKEN (日本)
Dr. Jiangwa Xing, Qinghai University (中国)

若手研究者部門アメリカ:
Dr. Pilar de la Puente, Sanford Research (アメリカ)
Dr. Natalia Sizochenko, Dartmouth College (アメリカ)
Mr. Sasan Jalili Firoozinezhad, Wyss Institute - Harvard University (アメリカ)
Dr. Vinicius Alves, University of North Carolina at Chapel Hill (アメリカ)
Ms. Lorena Neves, Catholic University of Petrópolis (ブラジル)

若手研究者部門:
Nikolas Gaio, Technical University of Delft (オランダ)
Aline Chary, LIST (ルクセンブルク)
Dr. Alessandro Polini, Università del Salento / CNR Nanotec (イタリア)
Dr. Daniel Urbisch, BASF SE (ドイツ)
Alexandra Damerau, Charité- Universitätsmedizin Berlin (ドイツ)

 

ラッシュの動物実験反対の取り組みはこちら
動物実験代替法の開発を推進するLush Prize (ラッシュプライズ)の詳細はこちら

11/16/2018

 

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