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母なる地球のために戦うIndigenous Climate Actionの女性たち

「この国はちょうどカナダ建国150年を祝いましたが、多くの私たちのコミュニティにとって、それは抑圧され続けた150年を祝っていることになるのです」-Eriel Tchekwie Deranger、ICAエグゼクティブ・ディレクター兼創立者

Tsleil-Waututh(ツレイル・ウォウトゥス)国の先住民の長老、Ta’ah(ターアー)は、儀式の準備をしていました。ツレイル・ウォウトゥスは、植民地化されて以来150年間カナダと認識されてきた場所です。Ta’ahは太古の祖先の力を集めながら、自身の目の前にいる6名の女性をヒマラヤスギの枝と純水で撫でます。この女性たちこそIndigenous Climate Action(ICA)の結成し他メンバーで、初めて互いに顔を合わせた瞬間でもありました。儀式はこの先住民主導の気候の公平性のための組織の初会合開催を記念し、彼女たちがその場において伝統的なルーツに通ずるものを感じ察せているのです。

この清めた水を示しながら「これこそ私たちが望む水の姿なのです」と語るTa’ahさん。この儀式の前に、彼女は水質汚染と、産業活動が神聖な水域に与えている影響について話していました。水の儀式やカヌー、水泳はいずれもツレイル・ウォウトゥス国の歴史に深く根差したものなのですが、Ta’ahさんによると、今では水からあがると赤い発疹だらけになるそうです。

突然 Ta’ahさんは動かなくなり、彼女の顔から血の気が引きます。ひと呼吸置いてから彼女は、「私は今、本当に病気のクジラを見ました」と言いました。

「クジラは力なく浜辺にただ横たわっているだけでした。私たちはクジラたちのために語らねばなりません」

このことは、なぜ世界がICAを必要としているのかを明白に気づかせてくれます。先住民主導のこの団体は「母なる自然」の声を代弁し、地球という惑星を守るために先住民の知識や経験を実際の解決策に繋げる支援を行っているのです。バンクーバー周辺のクジラであれ、石油精製工場に汚染される水であれ、パイプラインや鉄道に荒らされる神聖な先住民の土地であれ、それは問いません。

Ta’ahさんのほか、現在ブリティッシュ・コロンビア州として知られる各地の長老の方々は、いずれも抱える苦しみは非常に大きく、自分たちの神聖なる土地に対する破壊から、先住民の子供たちが入るように政府によって強制された寄宿学校のに至るまで問題の性質は多岐にわたります。この寄宿学校は先住民の文化や言語を根絶し、子どもたちを「カナダの文化」に同化させるために設計されました。わたしたちが話をした長老の方々は皆、長年にわたり言語的、肉体的、性的な苦痛や暴力を経験したと言います。

Ta’ahさんや彼女の同士である長老の方々は今、ICAの6名の女性のような次の世代を見据えています。この女性たちは自分たちの両親や祖父母が直に感じた苦痛を力にすることができると、Ta’ahさんは説明します。彼女たちにはできることがあるのです。

先住民の声をあげる

「私はEriel Tchekwie(エリエル・チェクウィー)といいます。雷鳴の女性、という意味です。私は稲妻の音を運びます」

ICAのエグゼクティブ・ディレクターであり創立者であるEriel Tchekwie Deranger(エリエル・チェクウィー・デランジャー)は、自分の故郷であるAthabasca Chipewyan First Nation(アサバスカ・チペワイアン第一国家)の土地がタールサンドによる破壊に直面しているのを目の当たりにしてきました。タールサンドからは天然アスファルトが掘削され、これが石油に変わるのです。

このタールサンドはより大きな問題の前触れだとErielは話します。先住民の各団体は無視され、意思決定の蚊帳の外に置かれているのだそうです。

「現地コミュニティに権限を持たせることが非常に重要です。私たちは、長く非常に多くの話し合い場で傍観者にされてきました。この国はちょうどカナダ建国150年を祝いましたが、私たちの多くのコミュニティにとって、それは抑圧され続けた150年を祝っていることになるのです」と彼女は言います。

長い間Erielは自分が組織を作ってスタッフを率いるという考えに抵抗がありましたが、彼女のコミュニティのほかのメンバーたちがそうする必要があると彼女を説得しました。こうして雷鳴の女性は、いずれも自分自身の強みや履歴、知識を伴った5人の先住民の女性の中心になっているのです。

今Erielは、「なぜ私はこれをやっているのでしょうか?正直言って、私に選択の自由があるようには思えません」と言います。

Eriel, ICA

ICAは気候変動問題の具体的な解決策ひとつを擁護するというものではありません。この組織はカナダ全域の先住民コミュニティ支援のために存在し、コミュニティが気候問題の闘士となって既に行っている事を推進させるための支援をしているのです。

「私たちはこの惑星の気候変動や生態系のバランスの変化の影響を一番最初に受ける一方で、大地や生態系と密接にかかわっているからこそ、そうした変動に順応し、またそこから回復するための解決策を実際、誰よりも早く構築できる立場でもあるのです」

気候変動に対するそうした解決策は、先住民古来の知識に由来しており、この組織は大地を守り気候変動を起こす原因そのものに挑戦することに主眼を置いています。居留地に対する先住民の権利と、国際的な権利を用いて、母なる大地を脅かすプロジェクトを阻む力を人々に与えるのです。これを通じて、各コミュニティは生態系と文化的アイデンティティの両方を守ろうと努力しています。

Erielさんと彼女のチームは現在、カナダ中の先住民コミュニティと会合を持ち、どうすればコミュニティを支援して先住民気候変動対応ツールキットの構築へ向けた活動ができるかを見出そうとしています。このツールキットはコミュニティ同士を結び付け、トレーニング用資源を提供し、先住民の権利や気候変動についての議論を増強させていくものです。

ICAが支援を行うグループのひとつがThe Tiny House Warriors(タイニー・ハウス・ウォリアーズ)で、自然や水や神聖なる土地への脅威に立ち向かうことで気候変動の解決策をもたらしています。このグループはセクワプミック居留地の518 kmにわたり原油を送ることになるトランス・マウンテンのキンダー・モーガン社パイプライン予定ルート沿いに10軒の小さな家を建てています。これらの家は車輪の上に建てられて簡単に運転できるようになっており、中の家財はソーラーエネルギーで動きます。

この任務を率いているのは先住民の活動家でこの土地の擁護者でもあるKanahus Manuel(カナウス・マニュエル)さんです。彼女の名前の意味は「赤い女性」です。

「私たちの居留地をずっと通り、手つかずの山脈や氷河、河川を抜けてアルバータタールサンド(油砂)から通じさせる予定になっているこのパイプラインは、私たちの生き方に影響を与えようとしています。なぜなら私たちはこの土地と深く結びついているからです」とKanahusさんは言います。

彼女の説明によると、このTiny Houses(小さな家々)には複数の目的があるとのことです。建物は石油パイプラインの対象地を占有するために用いられていますが、それらは住居でもあるのです。スリム化して地球からの搾取をより小さくすることが可能だということの証明となっているのです。

Kanahusさんは、「幸せで成功した人生を送るためには、消費者であり資本家である必要はありません。私たちは地球にできるだけ跡を残さないようにし、自身の住居を持つことができると人々に示すことができます。私たちは植民地化のために直面している問題のいくつかを解決することができるのです」と言います。

Kanahusさんによれば、先住民の人々は大型消費者ではないため、リサイクルやリユーズなどの環境問題にすでに取り組んできたそうです。Tiny House Warriors(タイニー・ハウス・ウォリアーズ)にとって、気候変動に立ち向かうことは、キンダー・モーガン社に立ち向かうことなのです。

ICAはこのグループの後ろ盾となり寄付金を募り、関係を築き、イベントの支援を得る手助けを行う一方、Kanahusさんのような先住民のリーダーを気候問題解決の「声」として推していくことで、この理念を推進しています。将来的にICAはこうしたグループを中心に、メディア戦略全体を構築しようと計画しています。ポッドキャストやウェビナー、ミニドキュメンタリーなどは、自分たちの人生を気候対策へ捧げている人々の知識や取り組みを共有するのに役立つ可能性があります。

ICAが協力を行っているグループはほかにもカナダ全域に無数にあります。つい先週もバンクーバー島ビクトリアのPacific Peoples’ Partnership(パシフィック・ピープルズ・パートナーシップ)と協力する方法を模索するべく初会合を開きました。この組織は環境・社会正義に根ざし、太平洋全域の先住民コミュニティと共に活動をしています。次の課題として、この団体はニュージーランドでこのサミットを主催するToitoi Manawa Trust(トイトイ・マナワ・トラスト)とともに、Red Tide Summit(レッド・タイド・サミット)と呼ばれる国際気候ネットワーキング会議を組織していこうとしています。これは先住民コミュニティとつながる上でまた別の一歩となります。

Erielさんは、「あの団体のビジョンは私たちのビジョンであり私たちは志を同じくする人々と協力していく必要があるのです」と言います。

今世界が必要とするもの

Eriel Tchekwie DerangerさんはTsleil-Waututh国にある長老たちのラウンジに立っています。明日の会議で彼女を祝福し、その視界に病気のクジラを見ることになる長老のTa’ahさんに私がインタビューするなか、耳を澄ましています。

Ta’ahさんは自分の土地や人々、そして自分と自分が属する人々にとって密接なすべてのものを引き裂こうとしているキンダー・モーガン社のパイプラインについて私に語ります。そして彼女の話が終わると、長い沈黙が流れ、Ta’ahさんもErielさんも自分たちがその土地や人々に感じる苦しみに嘆き悲しみます。世界が変わる必要があることは明々白々です。

Tsleil-Waututhの一部の人々が暮らす場所から道を渡ってすぐのところの小石の浜に立つと、ハクトウワシが頭上を舞って木の高いところへ舞い降ります。私たちの目の前にある水はTsleil-Waututhにとって神聖なものです。彼らの祖先はここをカヌーで渡り、この地で儀式を執り行いました。この水域を渡ってすぐの所で途切れることなく唸り音を立ててスモッグを空へ吐き出しているのが石油精製所です。このすぐ隣にはキンダー・モーガン社のターミナルがあり、原油を精製所へ供給しています。吐き気をもよおすというほかありません。それ以外に説明のしようがないのです。

この神聖な土地に立つと、すべては実に明らかです。ICAは耳を傾け、破壊を止めるよう、そして先住民の声を意思決定に取り入れるよう世界に問いかけています。今こそ耳を傾けて行動をとるべき時なのです。

Indigenous Climate Action(ICA)はLush Spring Prize 2017(2017年ラッシュ・スプリング・プライズ)を受賞し、ヤングプロジェクト賞の部門で25,000ポンドを獲得しました。Ethical Consumer Cooperative(エシカル・コンシューマー・コーポラティブ)が協力する2018年ラッシュ・スプリング・プライズは2018年5月に開催されます。

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