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難民が働きやすい会社は、きっと誰にとっても働きやすい会社

2017年1月、ラッシュジャパンに新たな仲間が加わりました。その2人とは、認定NPO法人 難民支援協会主催のジョブフェア(採用イベント)で出会いました

2011年に勃発したシリア内戦を機に、世界中のメディアで「難民」という言葉が多く取り上げられるようになりました。現在日本には、約2,5000人の難民が暮らすと言われています。その中には、1970年台後半以降ボートでたどり着いたインドシナ難民や、難民認定を受けた人以外に、平均3年かかるとされる難民申請中の人も含まれています。

現在の日本では、基本的には難民認定申請後、6ヶ月が経過すると就労が許可されます。この申請期間中、難民申請者は日本政府からの財政支援を受け取ることもできますが、基本的に職を探し、自分たちで生活を成り立たせることが求められています。自ら情報を集め、知り合いをつくり、なんとか生活する人もいますが、決して簡単なことではありません。こうした状況を受け、難民一人ひとりが日本で自立して暮らしていくために、仕事を探す難民と国際的人材を求める企業とのマッチングイベントとして、難民支援協会でジョブフェアを開催しています。

ラッシュジャパンでは、2016年の年末年始に展開した「難民支援キャンペーン」の準備のための調査の中で、パートナー団体である難民支援協会の担当者の方にこのジョブフェアの話を聞きました。

ラッシュジャパンのピープル(人事総務部)・シニアマネージャーの安田さんは、難民支援協会の「トルコに避難したシリア人を日本で受け入れるプロジェクトの話を聞き、すでに日本で暮らす難民認定申請中の方々を対象にした就労支援活動について理解が深まり、企業として取り組めることがまだまだあると改めて感じたと話します。そして、「ラッシュの仲間たちなら間違いなくこの取り組みに賛同してくれる、積極的に受け入れてくれる」と感じた安田さんは、2週間後に開催が迫っていたジョブフェアに参加することを即決しました。

当日、ピープルチームからジョブフェアに参加したのは、商品を製造するチームから異動したばかりの苅谷さんでした。

「僕は入社後、製造拠点で資材管理や出荷の仕事をしていて、5年の間製造部門のマネージャーをしていました。自分の名前とフェイスラベルがついた商品をお客様に届ける、という作り手としての一つの夢が叶った後、自分がマネージャーをしていたバスボムやソープの製造ルーム内でキャリアアップを目指すスタッフと関わる機会が増え、人の成長に携わることにモチベーションを感じている自分に気づきました。もっと社内の他の部署の人の成長を応援したいと思っていた時に、丁度社内公募が出ていたので、ピープルチームへの異動に手をあげました。異動後すぐに取り組み始めたのが、このジョブフェアヘのブース出展でした。」

難民申請者の中には高校や大学の先生、エンジニア、人権保護団体の職員をしていた人もいるということを事前に聞いていた苅谷さんは、実際にジョブフェアに参加して、「母国を追われ日本という新たな場所で生活を始めようとしている人たちは、ものすごく可能性を持っている人たちで、単に国の情勢によってこういう状況になってしまっているだけなんだと感じた」と話します。一緒に参加した安田さんは参加者の高い就労意欲を改めて感じると共に、会話を通じて「帰る場所が無い」という事実を目の当たりにし、支援の必要性を強く覚えたと言います。

こうして、このジョブフェアでラッシュジャパンで働くことに興味を持った難民申請者の2人は、入社前に職場となる神奈川県にある製造拠点「キッチン」を見学し、実際に製造ルームに入り、2週間のトライアルを経験しました。その後、待遇などの説明も行い、本人の意思を確認した上で、入社が決まりました。

ラッシュにとっても難民申請者を採用するのは、初めてのこと。ピープルチームは急ピッチで受け入れ準備に奮闘します。彼らには、今後日本で暮らしていくために、できるだけ本人が自分たちで引越しや行政との手続きなどをやってもらいたいということは伝えました。会社でサポートできることには限界があるからです。それでも、いざ手続きをするとなると、言語や文化の違いによる困難や障壁がたくさんあり、苦労したと苅谷さんは言います。

「不動産屋さんに一緒に行ったことも、もちろんあります。中古の家具屋でいいソファーを見つけた2人が、運転免許を持っていないから、お店が貸してくれる軽トラを運転して部屋にソファーを運んでほしいと頼まれたりもしました(笑)2人は今も日本語は勉強中ですが、英語が話せる人たちでした。これまでは日本語でのみ用意があった入社関連の書類、契約書などの書類も英語のものを用意しました。その他には、キッチンには食堂があるのですが、メニューが全部日本語だったので、英語のメニューを用意しました。」

また苅谷さんは2人が入社する前の準備として、キッチンで働くスタッフを対象に難民に関する勉強会を開催しました。

「難民の人たちと一緒に働くとはどういうことか、みんなと一緒に考えたかったのです。どうしたらより理解し合えて、よりみんなが気持ちよく働いてもらえるかを一緒に考える時間を作りました。難民支援協会の方々をキッチンにお招きして、難民とはどういった境遇の方なのか、難民申請中とはどのようなステータスなのか、そして実際に日本に来た難民の人たちはどんな仕事を行なっているか、どういう問題が起こり得るか、またどのように解決できるかなど、実際に働く上で役に立つこともお話しいただき、約200人の本社スタッフ、製造スタッフが参加をしてくれました。」

実際に参加したスタッフの反応はどうだったのでしょう。

「難民と聞くとテレビの中の、どこか遠い世界の話で、自分の身近なこととして感じてもらえるか、反応はそんなにないかもしれない、と思っていたのですが、予想に反して、参加者から質問がたくさん出ました。仕事中や休憩時間などどういう風に接したらいいか、言ってはいけないことはあるのか、ソーシャルメディアなどで投稿してもいいのか、など具体的に自分の日々の仕事や行動に反映させて考えてくれていることが嬉しかったですし、みんなが会社の取り組みを知ろうという姿勢を感じました。『難民』と言っても同じ人間で、一人ひとり違って個性があるという話も聞くことができました。」

こうして、2017年1月から2人の新しい仲間がキッチンで働き始めました。現在、そのうち一人のスタッフを迎えた製造ルームのマネージャーである小田さんは、受け入れ前に特別何か用意したということなかったと話します。

「勉強会が開催され、メンバーも参加をしていたので。キッチンには、外国籍のスタッフもいますし、チームメンバーには新しいスタッフがチームに加わることと何も変わらないので、ラッシュで働く自分たちは、普段と同じように最高の商品を作るために、普通に接してあげようと話しました。正直、不安なことも出てくるかと思っていましたが、何せやってみないと分からないと思ったので。」

実際、働き始めてスムーズにいかないこともありましたが、多くのことに気づかされたと小田さんは話します。

「働くということに対して、スタイルの違いはあると思います。1日中立ったまま仕事をするのは辛いので座ってできる仕事はないかと聞かれたり、日本人は時間をしっかり守ることに驚いたと本人から聞いたこともあります。『徐々に慣れていこう』と返すしかなかったことこともあります。ただ、最初は『何言ってんだ』と思う、驚くような意見やアイディアも、よくよく考えると『一理あるな』と思うこともありますし、痛いところを突っついてくれると感じることも同時にあるんですよね。今、僕のルームの中では立ち仕事がほとんどですが、座ってできなくもない仕事があるのかもしれない、と考えるきっかけをくれました。そうすれば、立って仕事ができない人もチームに加わることができる、なんて考えたことありませんでしたから。休憩中に本人が別のスタッフと英語で話している姿を見て、『この人英語できたんだ!?』と僕自身が驚いたこともあります(笑)」

苅谷さんはこんな経験もしたと話します。

「入社後、家賃の振込で困っていると連絡をもらったことがあります。ATMでうまく振込ができない、と。英語の表記があるはずだと思いつつ、2人と一緒に家賃の振り込みをしてみると、日本語画面で表示される金額が英語表示になるとなぜかゼロが一つ増えてしまって、桁が多かったということがありました。そこで、日本語画面を写真に撮って、マニュアルを作成して本人たちに渡しました。こんなこと、自分が普段生活している中で、絶対気づかないことですよね。日本語が母語ではない人が、日本で生活する時にどれだけ不便な思いをしているのかって。」

苅谷さんと小田さんは、2人が入社後も定期的に2人と面談を続け、コミュニケーションを積極的に取るようにしています。

「ラッシュは、誰もが自分でチャンスを掴んでいける職場環境です。僕らがやるのは、雇用であって、そこからは他のスタッフと一緒。チャレンジしていきたいなら、臆せずアクションを起こして欲しい。野望や野心はあるので、受け身の姿勢ではなく、要望、要求だけじゃなく自分たちで作り上げてみよう、と話したりします。」

ラッシュのピープルチームは、スタッフみんなが「ラッシュで働いて本当に良かった」「人生が変わった」と思ってくれる、そんなブランド・会社をつくるために、様々な制度を作ったり、環境を整えたり目指していると苅谷さんは話します。

「実際は、様々な意見やアイディア、対応などで、あーでもない、こーでもない、と怒涛の日々です(笑)。己の未熟さも感じていますし、新たなものを生み出す企画力がもっと必要だと、身が引きしまる思いです。ただ、将来的に難民の人たちをはじめ、多様なバックグラウンドを持った人の雇用、受け入れがもっとスムーズできたら、ラッシュという会社は、もっと成長できるんじゃないかな、と感じています。これまで日本人が日本人の視点で運営していたラッシュジャパンのキッチンに、新しい視点をもたらせてくれること、これまでの当たり前に一石を投じてくれる。これはとても面白いことだと思います。」

このインタビューの最後に小田さんが話してくれたことが、ラッシュの「チャレンジを恐れない」「チャレンジしながら学び、成長する」というカルチャーを物語っていました。

「今、日本は人口減少が進み、企業側は採用したくても人が集まりにくいということはニュースでも言われていますよね。他の国の人と働くことは会社にとっても、働いている人にとっても、マイナスなことはないと確信しています。難民問題は『難民だから』と括られがちですが、彼らも一人の人間で、難民であっても、人それぞれですから。「難民」だからじゃなくて、その人がどれだけチームに、会社に良い影響を与えられるか。もっと多様なバックグラウンドを持った人、それが日本生まれでなくて日本語が話せない場合もしかり、そういう人たちが働きやすい環境は整えつつも、ラッシュという会社が大事にしていること、例えば、最高の商品をお客様にスピーディーに届ける、など曲げないところは曲げない。ただその都度、意見をぶつけながら、もっと良い環境や方法を考えていければ良いと思います。特定の人を優遇するのではなく、外国の人、海外から来た人、難民の人にとって働きやすい会社って、きっと、誰にとっても働きやすい会社だと思うので。」

本当の意味で誰もが働きやすい職場環境を実現するためには、まだまだできることがきっとあるでしょう。しかし、ピープルチームだけでないスタッフ一人ひとりが、互いを受け入れ合い、対話を通して、より良い働く環境がつくれると私たちは信じています。
 

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