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海洋汚染を止めるために「プラスチックごみ」を考える

2018年6月8日、世界海洋デーに合わせて開催されたトークイベント「海洋ごみついて知り、くらしを変えよう」一般社団法人JEAN(Japan Environmental Action Network、以下JEAN)の事務局長で、30年以上漂着ごみや散乱ごみの調査やクリーンアップを通じて海や川の環境保全を行っている小島あずささんと一緒に、今求められるアクションについてアイディアを交わしました。

 世界海洋デーは私たちの生活を支える海洋資源と、世界を繋いでくれる海の自然環境に感謝する機会として国連や環境保護団体によって唱導されている日。今日私たちは、食、エネルギー、人やものの移動、海水浴やサーフィンなど楽しいアクティビティなど、様々なかたちで海と関わっています。しかしその大事な海は様々な問題に直面しています。「その中でも、人間と直接関わる『ごみ』の問題は『くらし』を変えれば現状を変えられるかもしれない」と思った小島さんは、世界中で同時に海岸に漂着したごみを拾う活動、International Coastal Cleanup (ICC)の日本運営団体として1990年にJEANを発足させました。ICCは一時的な美化活動にとどまらず、問題の根本解決のために回収したごみの分析・調査を世界各地で行われています。

 30年にも及ぶ活動実績がある小島さんによると、海の漂着ごみの中で最も量が増えているのがプラスチックごみです。加工が難しい天然樹脂に対し、変幻自在に形を変えて加工できるプラスチックは、1950年代の年代開発当初「夢の物質」といわれ、主に家電などの耐久消費財としての利用が普及しました。その後改良が進み、安価で大量に作ることが可能になったことで、プラスチックの使用量は増加しました。プラスチックのおかげで人々の暮らしは便利になりましたが、同時にごみも大幅に増えてしまったこともまた事実です。ポイ捨てされたごみや、雨風にさらされたプラスチック製品が、流されて最終的にたどり着くのは海。石油から作られるプラスチックは、物質として非常に安定している反面、川や海に流されてしまった際には分解せず、崩壊し細分化され、砂や海水に混ざって地球上に溜まり続けてしまうのです。プラスチックが普及したのが1950年代ですから、70年もの間プラスチックは海に溜まり続けてきたことになります。

 小島さんは、関東圏に住んでいる人にとっては、どれほどのごみが海に流出し、漂流してくるのかイメージするのは難しいかもしれないと話します。

 「海岸ごみ拾いをする時、気合いを入れてボランティアで集まってくれた人が『思ったよりごみが無かった』と、がっかりすることがあるんですよね。みなさんが足を運べるような海岸は、自治体の努力もあって比較的きれいに保たれています。そもそも潮の流れで漂着物が流れ着きづらい場所もあります。」

 一方で会場を驚かせた一枚の写真には、プラスチックを中心とした大小様々なプラスチックが映し出されています。

©️JEAN

 ここは長崎県対馬の一つの無人島。日本にもこれだけの海洋ごみが流れ着いているという現実に驚き、多くの参加者からはため息が漏れていました。漂着するプラスチックに目を向けると、日本のごみだけではなく中国語や韓国語、インドネシア語など、様々な地域から流れ着いていることがわかります。当然ながら海に境界はなく、一度海に流れ出たごみは発生元に関係なく、漂着地が責任をもって片付けなくてはいけないのです。とはいっても、ここは無人島ですから、持ち込まれたごみはなく、拾う人もいなければ、この場所にアクセスできる道もありません。

 日本から太平洋に出たごみは、黒潮に乗って北西ハワイ諸島やハワイ諸島、そして北米大陸の西海岸へと流れていきます。北西ハワイのミッドウェイ環礁では、海鳥のヒナの死骸から日本のプラスチックごみが見つかっていますし、アザラシやウミガメに漁網やロープが絡まる被害例が、世界各地から報告されています。

 この悲しい現実を変えるために、私たちにできることはあるのでしょうか。海洋プラスチックという大きすぎる問題を前に、眉間にしわを寄せる参加者にむけて、小島氏はこう強調しました。

 「プラスチック問題の解決のために重要なこととして、Reduce (ごみを減らす)、Reuse(再利用する)、Recycle(リサイクルする)という『3R』を徹底することが必要だと、よく言われますが、私はそこにハワイの友人が提案したRethink (改めて考える)、Respect (敬意を持つ)の2つを加えたいと思っています。」

 一度立ち止まってみると、何気なく使っているプラスチック製品の多くがなくてもいいものだと気づかされるかもしれません。エコバックがあればコンビニから家や職場までの、たった15分しか使わないレジ袋は必要ないかもしれませんし、ストローに至っては無くても不自由なく飲み物を飲むことができるかもしれない。小島さん自身も、できることから始めたうちの一人でした。レジ袋が問題視されるようになったころ、日本でエコバック1号を作ったのも小島さんでした。今では、日本中に「エコバック」が普及しています。こうした「気づき、変化を起こし、続ける」という一人ひとりのアクションが積み重なって、大きいプラスチック問題を解決する原動力になるのです。

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<ビデオアーカイブ>
トークイベント「海洋ごみついて知り、くらしを変えよう」|Soapbox

 

イラスト:ヴィジュアルノートテイキング By Elie Tanabe
ビジュアルノートテイキングは、文字が中心の一般的なノートテイキングではなく、絵を中心とした視覚的なイメージをノートにおこす記録方法です。イベント当日は、Elie Tanabeさんにイベントの様子を絵で記録して頂きました。Instagram @elie.visualdays 

 

2018/7/3

ラッシュ:Elie Tanabe visual note taking

 「プラスチック問題の解決のために重要なこととして、Reduce (ごみを減らす)、Reuse(再利用する)、Recycle(リサイクルする)という『3R』を徹底することが必要だと、よく言われますが、私はそこにハワイの友人が提案したRethink (改めて考える)、Respect (敬意を持つ)の2つを加えたいと思っています。」

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