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福島の和綿が紡ぐもの -いわきおてんとSUN

東日本大震災の塩害被害を克服するため、2012年から始まった「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」は6年目を迎え、福島のオーガニックコットンを使ったものづくりは新たなステージへ。いわきおてんとSUNが辿ってきた軌跡と、未来を見据えて描くビジョンとは?

東日本大震災の塩害被害を克服するため、2012年から始まった「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」は6年目を迎えました。枚数限定というかたちでスタートした、ラッシュといわきおてんとSUNのコラボレーションも3年目を迎え、今年は新たに福島のオーガニックコットンを使用した手ぬぐいサイズの「Knot Wrap」と、そのコットンの茎の繊維を利用してつくった紙をラッピングペーパーに採用した「ギフト」が、定番商品として登場しました。

 

ー「いわきおてんとSUN」とは?
このプロジェクトの発起人、企業組合「いわきおてんとSUN」は、2011年東日本大震災の後に福島・いわきの地で設立されました。復興活動とともに市民自らが市民のために行う地域作り、そして復興への想いや未来ビジョンを共有し、より多くの人の輪を広げていく活動に取り組むことを目指しています。

様々ある活動の一つが、有機栽培で綿花の収穫を行う「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」です。東日本大震災で被災した地域について、津波の被害や、原発事故による環境被害がメディアでも連日大きく取り上げられ、実質的な被害と、そこから沸き起こる風評被害からの地道な復興活動は7年経つ今も続いています。津波による被害は、大切な人の命や住居、家財道具が流されてしまう甚大なものですが、津波が引いた後の農地に高濃度の塩分が残って起こる「塩害」も深刻なものでした。塩害を受けた農地では農作物は思うように育ちません。しかし綿花は塩害に強く、すぐに栽培が開始できる農作物でした。そこで数ある綿花品種の中から、他の地域では栽培していない希少価値の高い「備中茶綿」を選び、土を汚さない有機栽培(オーガニック)によって収穫し、製品化・販売までの一連に取り組む「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」がスタートしたのです。

プロジェクト開始から約6年が経ち、2017年にはその「こだわり」を貫きながら新たな変化時を迎えました。それはいわきという地で、持続可能なビジネスを構築し、若者が夢を持って未来を切り開いていける環境を整えるのに必要不可欠なことだったといいます。
「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」の新たな姿はこちら

・お客様の安全、そして私たちが商品に使う素材の安全性は、ラッシュにとって最も重要であると考えます。Knot Wrapに使用するコットンについては、日本国内、イギリス双方にてサンプルを用いた放射能の測定を行っています。

ー「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」の生い立ち
いわきおてんとSUNは「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」として和綿を生産し、その和綿で製品を作っています。でも栽培や生産だけではありません。それを通して、塩害により耕作不可能となった土地と、そこに住む農家の人々のコミュニティの再生を行っているのです。

生産しているのは「備中茶綿」という和綿。平安時代から伝わる在来種で、名前の通り茶色がかった綿花を咲かせる珍しい品種です。塩害を受けた農地では農作物が育ちにくくなりますが、綿花は塩害に強く、すぐに栽培が開始できる農作物でした。綿花の栽培によって、次第に土地は再び肥沃になり、いずれまた耕作が可能な土壌へと再生されるのです。

農作物としては、食物に比べ収益に繋がりにくい和綿。それでも多くの人がこのプロジェクトを続けているのは、それに関わることで「人との繋がりが生まれる」からです。いわきにはもともとは食物を育てていた農家の方が多いなか、2011年の東日本大震災、そして福島第一原発事故後、塩害や風評被害によって耕作放棄せざるを得なかった農地を「食す以外の作物でなら買ってくれる消費者がいるのであれば」という気持ちでプロジェクトに参加しているのだといいます。そんな方々も栽培開始から数年を経て気持ちも変わってきています。福島の和綿のファンが増えていき、自分で使ってみても使い心地の良い製品に出来上がっていることが実感できる。そういったことが彼らのの新たなプライドの一つになっていきます。消費者から農家の顔が見えることはとても素敵なこと。それと同時に、農家さんから消費者の顔が見えることも同じくらい素敵なことで、活力になっていきます。

ー実は難しい「オーガニック」栽培
「コットンほど農薬を使っている農作物は無い」と言われていることはご存知ですか?時にコットン農家がその農薬によって病気になることがあるほど、農薬が多用されます。そうして作られたコットンがみなさんの毎日使う肌着やハンカチなどになっているという事実はあまり知られていません。作り手、使い手、そして福島の土地にそんなコットンを届けたくはないという思いで、そんなコットンを取り巻く世界の現実に対して感じる疑問を、未だ原発事故に起因する風評被害にさらされている福島で、遺伝子組み換えでない種からオーガニック栽培によって、安全で高品質なコットンの価値を証明しているのです。

ー和綿の特徴
備中和綿などの和綿は白い洋綿と比べ、布製品に仕上げるのに工夫と技術が必要です。まず、紡績。和綿は繊維が短く、紡ぐのが難しい品種です。一方で弾力があり強い性質があるので、上手く和綿を紡げば、丈夫な糸や生地が仕上がります。ではどうやって?おてんとSUNは和綿に洋綿を混ぜて紡績しています。茶色がかった弾力のある和綿と、白く柔らかな洋綿を混ぜて紡ぐことで、見た目にも美しい生成り色の綿糸となり、肌触りの良いしなやかで丈夫な綿生地が出来上がるのです。

そして、色味。茶綿の場合は白綿と違い、布地の薄茶色を考慮し、発色を計算して染色や塗色をします。和綿は油分を含んでいるので、なかなか染まりにくいという特徴もあります。染まりにくく、色の発色が難しい。そんな和綿ですが、和綿が持つ本来の色味に色を乗せると、ただ真っ白なキャンバスとして絵柄を乗せるのとは違い、和綿の上だからこそ現れる何とも言えない奥ゆかしい柔らかな風合いが生まれるのです。

ー小さな一歩が、変えるもの
おてんとSUN・吉田さんは言います。
「私たちが育てたコットンで作られた風呂敷を、世界の方たちに、日常生活の中で、普通に使っていただきたい。今までプラスチックの袋でお買い物していた方が、この福島の想いを込めた風呂敷でお買い物したものをキュキュっと包んで持ち帰る。そんな光景が世界の各地で見られるようになったら、こんな素敵なことはないと思います。初めの一歩は小さいけれども、福島の想いを乗せた風呂敷は、きっと世界の一人ひとりの方たちの生活を、日常の生活を変える一歩に成り得ると思っています。」

 

ーコットンペーパーの誕生
ここまで読んで、いわきおてんとSUNのみなさんの熱意と、和綿が福島でもつ意味の大きさに心を動かされた方もいるのではないでしょうか。ラッシュのバイングチーム・Takashiもそのひとり。長く「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」を身近で見てきたなかで、「何か違った方法で彼らが取り組む福島の再生を後押しすることはできないか」と考え、あることを思いついたと言います。それこそが「コットンペーパー」の開発でした。コットンを収穫した後、土壌に廃棄するだけになっていた茎や葉の繊維を活用し、ギフトラッピングペーパーに生まれ変わらせました。商品として価値がないと見なされていたものに、利用の可能性と価値を見出したのです。表面にコットンの茎の繊維が表れた、温かい風合いの紙に包まれたギフトは、すでに多くの人へと届き始めています。

 

 

おてんSUN酒井さんが語る「福島、いわきから始まるものづくり」はこちら

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