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プラスチックと共に生きる

"Plastics aren't inherently bad. It's what we do or don't do with them that count"  (プラスチック自体を悪いものとして扱うのはなく、私たちがそれをどう扱うのかが重要である) -シルビア・アール (米ナショナル ジオグラフィック協会付き研究者) 

   近年になり私たち人間はせきを切ったかのように口を揃えて「プラスチックは悪い」と批判を始めました。事実、プラスチックは環境に負荷を与え、特に海洋汚染は地球の生態系への影響が強く懸念されています。しかしながら食器やパソコンなど日常的に使用しているものから、医療器具などの特別な道具に至るまで、身の回りはプラスチックで溢れています。そんな中、私たちがすべきなのはいかにプラスチックが環境に悪いのかという事実を理解しながら共生していくことなのではないでしょうか? 

   5月30日の"ごみゼロ"の日、東京都内にあるラッシュジャパンのオフィス内にあるLush Studio Tokyoでは、ゴミを出さない "0waste (ゼロ・ウェイスト)" なライフスタイルを送るためのヒントや方法を知り、行動に移すプラットフォーム「530week (ゴミゼロウィーク)」が、プラスチックゴミについて考えるイベント「530talk (ゴミゼロトーク)」を開催しました。プラスチックの何が問題なのかをテーマに、国際環境NGOグリーンピースの石原謙治氏、NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー理事長の坂野晶氏をお呼びして、ラッシュジャパンの丸田千果とともにパネルディスカッションを行いました。今回はイベントのレポートも兼ねて、私たちがこれからの社会においてプラスチックとどのような付き合い方ができるかを探っていきます。

 

4回"NO"と言うコンビニでの買い物

    「コンビニで買い物をすることがゼロ・ウェイストとは程遠いことは承知の上で、ゴミになってしまうものを貰わずにコンビニで買い物をすると最低でも4回はレジで断りを入れないと買い物が出来ない」とラッシュジャパンの丸田は話します。この4回の断りは、電子レンジで温めるか否か(温めてもらうと自然にビニール袋に入れられてしまうから断る)、箸等の利用、袋、そしてレシート。もしゼロ・ウェイストを意識をしなければ、日本が誇るホスピタリティや親切心が使い捨てのゴミを増やす原因になっているのかもしれない、と思うくらいに丁寧かつ自然な形で、一回の買い物につき、もれなくたくさんのゴミが追加されます。

 

Reduce, Reuse, Recycle, and Refuse!

    最近では、ゴミ問題の解決に有効なアクションとされる3R (Reduce 減らす、Reuse 繰り返し使う、Recycle リサイクルする)に加えてもう1つ、"Refuse" (拒む)を推進する自治体も増えています。この"Refuse"は、私たち消費者が常に意識して行動し続けることで、ゴミ問題に対する社会の新しいスタンダードを作り出すというポジティブな可能性を秘めています。日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言をした徳島県上勝町に拠点を置くNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー理事の坂野晶氏によると、石油を使い、安価に大量生産されるプラスチックの製造は世界の石油消費の6%を締めているのにも関わらず、その40%は生産後6ヶ月以内に破棄されるシングルユース(使い捨て)のパッケージだそう。この中には、ストローやドリンクカップ、買い物袋など、消費者が手にした数分後にはゴミ箱に捨てられてしまうような一瞬の命しか持たないものも含まれています。欧州におけるプラスチック産業団体、PlasticsEurope (プラスチックス・ヨーロッパ)によると2017年には3億3,500万トンのプラスチックが生産され、その生産数は毎年増加傾向にあると言われています。

 

使い捨てのプラスチックゴミを出さない暮らしのアップデート

    それでは私たち消費者が、この使い捨てプラスチックゴミを減らすためには、暮らしの消費行動の中で何をどのように"Refuse"出来るでしょうか?常にエコバッグを持ち歩くこともできますが、例えばカバンやポケットに入る容量が小さい商品を購入したときは、袋を貰わないことを心がける。カフェを利用する場合は、飲み物をプラスチックカップではなくタンブラーや店にあるマグカップに入れてもらう。ストローを使わない。少しの意識で、少しずつ使い捨てプラスチックを生活の中から減らしていくことが出来るでしょう。このように生活の中で新しいゴミを生み出すことを事前に防ぐことは、私たちがこの地球で生活していく上で必要になってくることは明らかです。
    一方で、現代社会において生活とゴミは切り離せないものであることを認識し、発生したゴミとどう向き合い、付き合っていくか、そして工夫をこらしながらアクションを起こしていくことも大切です。そこで、日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を行なった徳島県上勝町を事例を見てみたいと思います。

 

ゼロ・ウェイストタウン、上勝町

    個人の消費行動に少しの意識を持つことはとても重要ですが、さらに一歩先に踏み込むには、自治体の協力が重要になってきます。今やゼロ・ウェイストタウンとして世界的に有名になった徳島県上勝町では、驚くことに住んでいる人たちの消費行動に関しては昔も今もそこまで変わっているわけではなく、アップデートしたのは自治体によるゴミの収集方法だけだそうです。上勝町にはゴミ収集車が走っていなく、町内に1箇所のみ設けられているゴミステーションに町民自らがゴミを持っていき、各自がリサイクル業者ごとに分けられた45種類に分別します。細かい分別を行うことで上勝町ではゴミ全体の約80%(日本の平均は20%)がリサイクルされています。
    上勝町がゼロ・ウェイストタウンになった背景には、町で使用していた焼却炉がダイオキシンを規制する法案の基準に満たず使用できなくなり、町から焼却場がなくなったことがありました。やらなくてはいけないからするというより、こうした方がこの地域での暮らしの合理性が高いからする。住んでいる人たちの意識によって無理なく持続性の高いエコシステムの循環が行われた結果、上勝町ではプラスチックのみならずゴミ全体との共生を可能にしました。

 

ゼロ・ウェイスト・チャレンジウィーク

    今回のイベントで登壇した3名と530week代表の中村元気さんには、イベントに向けて1週間前からゴミを捨てずにとっておき、イベント会場に持ってきてもらうことをお願いしていました。それぞれのゴミを比較すると、その人の生活ぶりが見える面白さがあるというユニークな気づきもありました。例えばラッシュジャパンの丸田はイベント当日朝までイギリス出張に出向いており、チャレンジの後半は海外で過ごしていました。彼女の場合、普段の生活のままにゴミを集めてみた結果、日常で使うゴミについて意識を向けることが多くなったと話し、例えば瓶に入った飲み物は飲み終わった後に購入した店に戻しにいくなどどいった、シングルユースの資源をゴミにせず、リサイクルの循環に戻すことを心がけました。
    少し驚きだったのはゼロ・ウェイストアカデミーの坂野さんの結果。何も考えず見ると正直「結構ゴミを出している」という印象を受けます。東京都内だと、坂野さんが集めた1週間のゴミのほとんどは、ゴミとして捨てられ焼却処分されてしまいますが、ゴミが45種類に分別され資源に変わる上勝町では、ゴミステーションにて分別され資源に変わります。過疎地域である上勝町では、日本の他の田舎の地域と同様、住民の多くが郊外の大型スーパーで生活必需品の買い物を行います。そんな中で、食品などの購入時にゴミを減らすことに意識を置いて暮らしている人は案外少なく、使用後、既述のゴミステーションで分別・資源化することによりゴミをゴミのままにしない工夫をしています。

   

プラスチックの未来は、それを私たちがどう扱うかに委ねられています。米ナショナル ジオグラフィック協会付き研究者であるシルビア・アール氏が述べたように、プラスチックのみを悪者に扱うのは間違いで、軽量で耐久性の高いプラスチックは人類の進歩に大いなる貢献をしてきました。これから重要視されるのは、それを扱う私たちがいかに適切に使用し、処理していくかです。未来の地球のためにプラスチックとどう生きていくか、全ては私たち人類の判断に委ねられています。

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現在ラッシュでは、海がプラスチックのごみだらけになる状況を目の前に「#国境なき海ごみ」キャンペーンを展開中。この状況を水際で食い止めるために、みなさんの声が必要です。

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5月30日の”ごみゼロ”の日、ラッシュジャパンのLush Studio Tokyoにて、プラスチックごみの何が問題かを考えるイベントが開催されました
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