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FEATURED

Soapbox: 動物実験と化粧品の安全性

言論の自由はとても大切な権利。「Soapbox」のコーナーでは、社外の専門家に依頼し、見識や解説について寄稿いただいています。
今回の執筆は、「国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センターおよび日本動物実験代替法評価センター(JaCVAM)」事務局長である、小島肇夫氏。
動物実験と化粧品の安全性についてお伺いしました。  

1.国外の動物実験の現状
2013年3月11日をもって欧州で化粧品に関するすべての動物実験が禁止されました。欧州では「動物実験の3Rs(Reduction:削減、Refinement:苦痛の軽減、Replacement:置き換え)」)を基に、2004年から段階的に動物実験を縮小してきましたが、2013年よりすべての動物実験が禁止されたことになります。国際的な経済交流が活発になる昨今、欧州だけの問題でなく、イスラエルやインド、ブラジルのサンパウロ州等がこの問題に追随しています。米国、オーストラリアなどでは化粧品開発における動物実験の禁止法案が議会に提出され、世界中に広がりつつあります。

本来、化粧品は世界どこでも自主基準で販売されているため、各社が安全性を担保することになっています。よって、動物実験の有無を各社が決めることになっています。国際市場に考慮し、国内外の大手化粧品会社は動物実験の中止を続々と発表しています。ただし、以下に示しますが、動物実験代替法(代替法)の開発がまだ不十分であり、それは多くの化粧品会社が新成分を開発できないことになります。既存原料の有効活用で対応するしかない状況です。

2.国内の動物実験の現状
化粧品の安全性は各社が担保するものですから、厚生労働省は化粧品の安全性評価に動物実験を求めていません。よって、厚生労働省として動物実験を禁止する法律を提出する予定はありません。

ただし、日本には化粧品とは別に医薬部外品が存在しており、薬事法(現在の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)でその効能が定められています。この医薬部外品の中に、薬用化粧品というものがあり、日焼け止め、美白、口臭もしくは体臭の防止、あせも・ただれ等の防止、脱毛の防止、育毛または除毛、にきび・肌荒れ・かぶれ・しもやけ等の防止、皮膚・口腔の殺菌消毒などの効能を持つものや、染毛剤、パーマネント・ウェーブ剤、浴用剤などがあります。これらの製造・販売には行政の承認が必要であることから、動物実験を用いる安全性試験が求められます。国内の大手化粧品会社は動物実験の禁止を発表していますので、当面新しい医薬部外品は開発されないということを意味しています。

3.医薬部外品の許認可に代替法開発がいかに不可欠であるか。
医薬部外品の許認可にあたっては、動物実験含む安全性テストをした上で、 安全性に関する資料を提出することが必要とされます。医薬品などと同様に多くの安全性試験が必要となります。挙げられた項目の中で、OECD(経済協力開発機構)などの国際機関において動物実験に代わりに代替法が認められている試験法は、がんになりやすさを調べる(遺伝毒性)試験、皮膚のただれや赤みを確認したり、誤って眼に入った場合を想定する(局所刺激性)試験、アレルギー性を確認する(皮膚感作性)試験、太陽光で皮膚の赤みが増長しないかを確認する(光安全性)試験などがあります。局所刺激性試験とは、皮膚や眼刺激性試験のことです。その他の項目に代替法は開発されていません。よって、新しい医薬部外品を動物実験なしで開発するためには、さらに多くの代替法を開発しなければいけないのです。

4.国内の代替法開発・研究について
世界の化粧品会社は、OECDに認められるような代替法の開発を目指して研究しています。日本では、資生堂株式会社(資生堂)と株式会社花王(花王)が主体になって同様な研究を進めています。眼刺激性試験代替法として、花王や資生堂が試験法を開発しています。花王の方法はまもなく、OECDで認められます。皮膚感作性試験代替法としては、花王と資生堂が協力して代替法を開発し、OECDで認められることを目指しています。皮膚刺激性試験代替法として、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)が培養表皮モデルを開発し、OECDでも認められています。

一方、JaCVAM(日本動物実験代替法評価センター)では国際的な類似組織と連携し、代替法に関する情報を取りまとめています。新規の代替法について、OECDに認められるように申請を行っています。より代替法の普及率を上げるために、厚生労働省では、2011年2月の事務連絡で、医薬部外品の承認申請資料の作成においては、JaCVAMのホームページに掲載されている情報も参考の上、適切な資料を作成し、活用が図られるよう、管下関係業者に対し周知をお願いしています。さらに、2012年4月以降、厚生労働省では「化粧品・医薬部外品の安全性評価に代替法を活用するためのガイダンス」を発表しています。これまでに、①光安全性試験代替法(3T3 NRU)、②皮膚感作性試験代替法(LLNA、LLNA:DA、LLNA:BrdU-ELISA)、③眼刺激性試験代替法(牛摘出角膜の混濁および透過性試験法:BCOP)、④眼刺激性試験の留意事項についてを発表しています。厚生労働省も動物実験の3Rsを尊重し、医薬部外品の開発に代替法を用いることを積極的に進めているのです。

5.代替法開発の必要性
このように、国内外で代替法に関する積極的な研究や普及活動は進んでいるのですが、まだまだ代替法の開発は不十分であり、動物実験なしでは、医薬部外品の安全性は担保できない状況です。よって、代替法の開発をこれからも続けて行くことが大切と考えています。

新しい医薬部外品の許認可を動物実験なしで得るためには、さらに多くの代替法が必要です。

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