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パッケージのその先に:プラスチックの代用品

プラスチックによる環境汚染が世界中で問題になっています。私たちはどのようにしてこの問題に取り組むべきでしょう?プラスチックの使用をゼロに近づけるため、各地で実施されているイノベーティブな解決策をご紹介いたします。

台湾やEUが相次いで2030年までに使い捨てプラスチック製品を全面禁止にする発表をしました。今年の初めに舞い込んできたこのニュースは、日本に住んでいる私たちはもちろん、世界に衝撃を与えたとともに賞賛の声があがり、これら各国の決断は、プラスチックの環境汚染を明確に表面化しました。私たちが生活に密接に関係しているプラスチックはどこからきて、そしてどこへ向かっていくのでしょうか?

-プラスチックの誕生

プラスチックが産声を上げたのは20世紀初頭。化学者で発明家のレオ・ベークランドが、現在のプラスチックの元となる合成樹脂を開発しました。耐久性のある素材で、低価格で生産できる優れものの発明は、革新的であると世界から称賛を受けました。そして、それまで使っていたガラス素材や金属は、すぐにプラスチックに替わっていきました。これが変形することなく、衝撃にも強く、粉々にもならないプラスチックという名の無敵の素材の誕生です。

ベークランドの発明品「ベークライト」は、初めて人工技術の元で作られた合成樹脂。ベークライトは、それまで原材料として何世紀もの間に使われていた、動物性の素材である象牙や植物性のセルロース、ゴムなどの素材を使用せず、化石燃料を使用して開発されました。合成プラスチックは、自由自在に形を変えることができる、大変便利な素材でした。ベークライトの発明後、それに続きポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート(PET)が誕生していったのです。

ベークランドの発明から時は経ち、今ではポリマーの種類は数万種類に増えました。世の中に出回っているプラスチックの多くは石油やガスを原材料としているため、製造過程での多くの二酸化炭素を排出しています。プラスチックの問題は、これだけに止まらず、特に突出して懸念されているポイントとして、分解あれ完全に自然に還るまで何千年もの月日がかかるということです。地球に残留し続けるプラスチックは海へとたどり着き、海洋を浮遊し続けています。かつて称賛されていた安くて耐久性の高いプラスチックは、今では環境汚染を助長する悪の素材として人々にネガティブなイメージを与える存在になってしまいました。

-プラスチック代用品開発におけるイノベーション

環境を保護し、地球の未来を守るため私たちができることはなんでしょうか?ある日突然プラスチックの使用を禁止するというのはあまり現実的な解決法とは言えません。今存在しているプラスチックをいかに環境に負荷を与えない形で適切な処理するのかが、この問題の重要な論点になりそうです。すでにラッシュを含めた何社かのメーカーは、合成プラスチックに替わる代用品を探すために、分解できるポリマーの開発や活用、リサイクル可能な素材をリユースしたりと、アイディアあふれる方法で日々努力し続けています。

またラッシュでは、昨年から全商品のパッケージを最少限にし、可能なものは、”ネイキッド”(包装していない)商品として販売しています。プラスチックのパッケージを使うときは、それが必ずリユース・リサイクル可能である素材であるというこだわりを持っています。ラッシュで使用する容器やパッケージは、お客様がショップに持ってきてくれた使用済み空容器をリサイクルしたり、生分解性の素材や100%リサイクル素材のポリプロピレンから作られています。このようにプラスチックの使用を減らしつつも、今あるものに関してはいかに捨てることなく循環させていくか、クリエイティブなアイデアで問題に取り組んでいます。

ラッシュのアースケアチーム、スージー・ヒルによると、この12ヶ月間だけで、7トンのブラックポットを回収&リサイクルし、新たにブラックポットに再生したそう。日本においては、2016年の1年間でおよそ29トンのブラックポットを回収し、リサイクルしました。

ラッシュのボトルは100%リサイクルされた使用済みのPET(ポリエチレン・テレフタレート)といわれるプラスチックから出来ています。そしてバスボムを作る型にもPETプラスチックをリユース・リサイクルして使用しています。

「私たちはリサイクル可能な素材だけを使用せずに、すでにリサイクルされたものを使ったりと、イノベーションの最先端を走り続けているのです」とラッシュのパッケージング・エンジニアを担当するジャイルズ・ヴェルドンが説明してくれました。「バスボムの型は、PETシートから作っています。今後はこのシートをきれいな状態に戻し、分解して、また新しい型にすることで、再利用を繰り返せる方法を探っています。現状で決して満足はせずに、常に自分たちをチャレンジして、プラスチック問題に取り組んでいるのです。」

-プラスチック代用品開発におけるイノベーション

プラスチックの時代はもう終わってしまうのでしょうか?これまで作られていた石油由来のプラスチックに代わり、自然素材を原材料にした新しい素材を開発している人たちがいます。繊維業界のパイオニアであるアナナス・アナム社は、ピニャテックス(Piñatex)といわれる革に似た自然素材で出来たテキスタイルを製造・販売しています。このピニャテックスは、フィリピンのパイナップル産業の副産物で、いままで無駄になっていたパイナップルの葉を使い、その繊維からテキスタイルを生成しています。この素材を開発したのはアナナス・アナム社のCEOであるカルメン・ヒホサ博士。彼女は7年もの時をかけて、この素材を開発しました。ピニャテックスは製造過程で、新たな土地や水は一切必要なく、フィリピンのパイナップル農家も思わぬ原材料から収入を得ることができる画期的な素材です。今までレザーの代替素材としてつかわれてきた素材の多くは、ポリウレタンやPVCやのような石油由来のプラスチックでできていたため、環境への不可を心配する声もありました。ヴィーガン素材でありながらも、ピニャテックスは分解可能な素材であるだけではなく、動物を殺さないヴィーガン素材であるため、環境にも動物にもやさしい新素材といえるのです。

「ピニャテックスはレザーと石油由来のテキスタイルなどの中間に存在していて、ニッチでありつつ、今後の需要が広がると予想されるマーケットに向けて開発しました。」とカルメン・ヒホサ博士は語ります。アディダスやカンペールは現在、このピニャテックスを使用した靴のプロトタイプを作っています。他にもエシカルフットウェアブランドで知られている、ポーズもピニャテックスを使用したヴィーガンシューズの展開を開始しました。ヒホサ博士は「ピニャテックスは日々進化し、今ではひとつの素材として社会に定着し始めています。」と話しています。

-食べることができるプラスチック?

小さな企業でありながらも、オーガニック素材を使うことでプラスチックによる環境汚染問題に取り組んでいる企業があります。フロリダを拠点に、クラフトビールを製造している、ソルトウォーター・ブルワリー社です。彼らは、ニューヨーク発の広告会社、ウィー・ビリーバーズとのコラボレーションで、100%分解・堆肥可能で、食べることもできる、プラスチックフリーのシックスパック・リング(6本のビール缶をまとめるプラスチック容器・リング)の開発に成功しています。このリングは、ビールの醸造工程で副産物として残る小麦と大麦から製造されています。このリングのすごいところは、万が一海に流れた場合でも、たった数時間で自然に分解されることです。往来のプラスチックリングは、魚など海洋生物の身体に絡み身動きを取れなくさせ、窒息や絞殺、さらには餓死を招くものでした。90日間を掛けて太陽の光だけで分解できる低密度のポリエチレン(LDPE)であっても、往来のプラスチック品と同じ危険性をもっています。

もし大企業のビール会社が、この画期的なテクノロジーを採用すれば、製造コストが下がるだけではなく、往来のプラスチック代替品に匹敵する、競争の高い素材にもなる可能性があります。ソルトウォーター・ブルワリー社のブランド担当であるピーター・アガーディは、「私たちのように、海を愛している漁師やサーファーのような人々が集まって作られた小さなブルワリーにとって、今回の開発は、非常に環境問題にとって大きな貢献となります。」とコメントしています。同ブランドの代表を務めるクリス・ゴーヴは「この技術を広めることで、大企業に影響を与え、この選択肢を採用するようになれればと思っています。」と今後の目標を語りました。

グローバルブランドもバイオプラスチック市場に参入しはじめています。イーストを使うことで、サトウキビをエチレンやポリエチレン、PETに替えている企業が増えています。「人が食べる材料となるものをプラスチックに替えるという考え方には賛同できない」という考えからラッシュは、これらのマーケットに参入する予定はありませんが、ごみを減らし、リユース・リサイクルをする、という信念にこだわりをもっており、同じ考えを持っているグローバルブランドとともに、プラスチックによる環境汚染解決に向けて活動を続けています。

  • スレッド・インターナショナル社は、ハイチの道端や運河から拾い集めたプラスチックボトルを”責任ある”生地に変えるために動いています。この生地は50%リサイクルされたPETで作られ、ティンバーレイク、ケネス コールのようなファッションブランドやオーストラリア発のホームウェアブランドのケリーレーンのようなブランドに採用されています。
  • 海洋プラスチックごみをスポーツウェアに変えるために、アディダスはパーレイ・フォー・ザ・オーシャンズとコラボレーションしています。海洋プラスチックの繊維で糸をつくり、ニット素材に仕上げたデザインのアッパーや、リサイクルされたポリアミドや深海で違法に設置された刺し網を再利用した3Dプリントのミッドソールの開発に成功しています。

  • リフリースは、新しい形のフェルトを作っているアクセサリーブランドです。再利用されたテキスタイルやリサイクルされたプラスチックボトルを素材に使うことで、低エネルギーの製造過程も実現しています。

  • パイロット社のGelローラーボールペンは、世界で初めてプラスチックボトルのリサイクル素材作られたペンで、インクもリフィルが可能です。

  • BLUE PLANET EYEWEAR(ブループラネットアイウェア)はリサイクルされたプラスチックや金属を使って、環境に優しいサングラスを作っています。

-日常生活の中の代用品

世界中の企業が、プラスチックの代用品の開発に向けて尽力している中、実は私たち一人ひとりがプラスチックを減らすために日常生活の中でできることは沢山あります。

リユース可能なコーヒーカップやタンブラーを持ち歩くことも大事なステップのひとつ。イギリスのリサイクル・ナウ・キャンペーンが発表したデータによると、イギリスの家庭では、一年に平均480本ものプラスチックボトルを使い、そのうち270本しかリサイクルされません。カーディフ大学が発表した研究結果でも、1日で700万個ものコーヒーカップがごみとしてその日に捨てられ、そのうちのわずか1%しかリサイクルされないといいます。この原因はコーヒーカップの内側についているプラスチックフィルムであり、これによりほとんどのカップがリサイクルできないと言います。近年では、多くのカフェがリフィル可能なタンブラーやカップを歓迎しています。アラジン・アーススケープスは、再生プラスチックを混ぜた”eCycle®”という素材を使い、環境に優しいマグカップやボトル、タッパーを製造しています。

プラスチック製のストローに変わる、紙や金属で出来たストローの使用も広がりを見せています。アメリカのリサイクル企業であるエコ・サイクル社によると、アメリカ国内で1日に消費されるストローの数は5億本にものぼると言います。ストローはごみとして捨てられると、埋立地にたどり着くか、海に流れつくと言われています。海に流れ着いてしまったストローの破片が海ガメの鼻の中に入り込んでしまったり、ペンギンの胃に穴を空けるという問題を起こしているのです。

イギリスでは2015年10月からプラスチック袋の有料化が始まり、その結果として80%以上も使用量を減らすことに成功しました。また、イギリスではストローや綿棒を含む使い捨てプラスチック製品の販売を禁止する動きがあり、早ければ2019年から施行されると言われています。アメリカ国内ではカリフォルニア州がレジ袋禁止法を可決し、2015年1月から順次プラスチック袋の提供が禁止になってきました。そのほかにもケニア、台湾、バングラデッシュ、ルワンダ、フランスでも、レジ袋、プラスチックの皿、コップ、食器の提供を禁止する動きがあります。

さて、私たちが日本でできることはまだまだたくさんあります。まずは日常生活に落とし込める小さなことから初めて、環境に優しい素敵な毎日を始めませんか?

コメント (2)
2 件のコメント

manami.moore

1ヶ月 前に

大きなことは出来なくても日々小さな努力を一人ひとりが積み重ねることが大切だと思います。リサイクルも大切ですが、リサイクルされた製品を努めて使用する、私もそうしたいと思います。

Lushカスタマーケア

1ヶ月 前に

スタッフ

コメントありがとうございます。リサイクルへのご理解とご協力をいただき大変嬉しく存じます。私共も、より環境に配慮した製品をお届けできるよう、日々努力していきたいと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。カスタマーケア:Oyatti