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Fast alone, far together: 遠くへ行くなら一緒に行こう

現在、ラッシュが手提げ袋やギフト商品のタグ、社員の名刺に使用しているのは、バナナの茎の繊維から作られた「バナナペーパー」。この特別な紙は、貧困問題と環境問題を同時に解決する可能性を持っています。2017年5月、Lush Live Tokyoで登壇した株式会社ワンプラネット・カフェの取締役・環境マネージャーのペオ・エクベリ氏は、バナナペーパーを通したグリーンビジネスの実践、環境・人・すべての動物に与える影響をポジティブに変える、持続的なビジネスの在り方について話をしてくれました。

<2015年10月にLUSH 原宿表参道店で開催したペオ・エクベリ氏のトークセッションはこちら>

皆さん、hello, how are you?

ペオと申します。今日は環境と人と、そして動物を守る紙「バナナペーパー」についてお話したいと思います。この紙は、アフリカの最貧困層で苦しんでいる村の人たちと、日本の越前和紙工場とのコラボレーションで生まれたものです。ここ数年でこのプロジェクトに関する様々な面白い動きがありました。たくさんの苦労もありましたが、嬉しいこともありました。

その一つが、私たちのバナナペーパーが日本初のフェアトレード認証を取ったことです。2016年10月6日、株式会社ワンプラネット・カフェは、WFTO(世界フェアトレード機関:World Fair Trade Organization)認証を取得し、フェアトレード事業を行う企業として認定され、日本初のフェアトレード認定の紙プロデューサーとなりました。労働条件や安全な職場環境、きちんと賃金を支払うことや、児童労働をしていないこと、オーガニックな原料を使ったり、ソーラー発電などのグリーンエネルギーを使うことなど、社会、環境、ガバナンスに関する10の指針と100の基準をクリアして認証されました。

なぜバナナペーパーが環境や森林のために良いのか。現在、私たちは地球1.7個分の資源を使って生活をしています。これは、私たち人間が地球上の資源が回復する以上に早いスピードで今ある資源を使い果たしてしまっているということです。資源が回復する時間が充分にないのです。これは持続不可能な世界です。地球は一つしかありません。

そんな中、この地球上で地球1個分、“one planet”でビジネスをしている、暮らしている世界があります。それが自然界です。この地球上には500万種類以上の動植物がいますが、その中でゴミを捨てるのはそのうちの一つの生き物だけ。私たち人間です。動植物の世界にゴミはありません。全ては資源です。これは、一つのキーワードです。その資源に付加価値をつけて、進化する。自然界には貧困も存在しません。自然界、野生動物の世界の失業率は0%。仕事がなくて苦しんでいる鳥はいないのです。そういったところから、私たち人間は学ぶことがあるのではないでしょうか。

自然生態系からインスピレーションを受けた経済モデル、これを「ブルーエコノミー」と言います。宇宙から見た地球が青いのでこのような名前がついていますが、ブルーエコノミーとはこの地球上に既にあり、まだ活用されていないものに付加価値をつけてビジネスを成り立たせることを指します。通常は廃棄されているバナナの茎を使って紙づくりを行うという観点から、バナナペーパーは、ブルーエコノミーにも繋がっていますね。地球上の全ての生き物は全て同じルールに従っていると人間は発見しました。私たちが生まれる前からずっとです。これが地球1個分の範囲で人間が暮らしていくためのルールで、それは自然環境の循環に従うことが鍵となります。分かりやすい言葉で言い換えると、次の3つのことが言えます。

1. 自然に返すことができる以上に資源を取らない
2. 地下の資源ではなく、地上の資源を使う
3. 生物多様性を守る

プラスチックやアルミは、地下にある資源から作られています。これらの素材は、土に埋めてもなかなか土に還りません。土に戻らないため、環境循環されません。また、ルール1とルール2がうまくいくためには、エンジンが必要です。それが生物多様性です。植物だけでなく、動物を含めて、全ての生物を守っていくことです。これによって、自然環境の持続可能性のために「優しい」ではなく、自然環境の持続可能性のために「正しい」判断ができます。バナナペーパーは、この全てのルールに従っています。

バナナの木は、5メートルくらいの高い木です。その木からバナナの実は一度しか出てこないって知っていましたか?一度バナナを収穫したら、その木は役目を終えます。使い捨ての果物なのです。バナナを収穫した後、農家さんたちはこの木を切って捨ててしまっていました。木を切れば、その木に、筍と同じようにバナナの子が出てきます。1年でバナナの木は再生して、新しいバナナが実ります。紙を作る木が育つには30年くらいかかります。1年 vs. 30年。バナナは自然に返すことができる以上に資源を必要としない地球が教えてくれたルールですね。1年で再生するのです。

残念ながら私たち人間は、この自然界から教えてもらったルールに耳を塞いでしまうことがあります。そのため、次のようなことが起きてしまいます。

例えば、森林伐採。今、地球上では毎年日本の陸面積の1/3に相当する森林が伐採されています。植林をしても、リサイクルペーパーを使っても、ペーパーレスの活動が広まっても追いつけないスピードで森が消えていっています。全てが紙産業のせいではありませんが、紙はその大きな理由の一つです。みなさんが今日使った紙、ノート、レシート、メニュー、トイレットペーパー、これらの紙がどこの森から来たのか知っていますか?では、その紙の原料となる木が育っていた地域に住む動物のことは?その地域に住む人のことは、どうでしょうか。紙のトレーサビリティーは非常に難しいのです。このバナナペーパーのバナナ繊維は、どこから来たか、その近くにはどんな動物がいるか、そしてどんな人たちがこの紙の繊維を作っているのか、全て分かっています。

バナナペーパーは、生産者の顔が見える紙なのです

現在、私たち人間は世界中で毎日100万トン以上の紙を使っています。その9割以上が木からできた紙で、生産者の顔が見えない紙も多いのが現実です。森林伐採が進むことで、二酸化炭素を吸収力が減っていくため、気候変動にも影響があります。また、森に頼って生きているのは約16億人の人間だけではなく、動物の種類の半分くらいが森で暮らしています。つまり、森が消えれば、動物も消えてしまう。バナナペーパーが生まれたアフリカでは、今動物がどんどんいなくなっていっています。ゾウやキリン、ライオンも今では絶滅危惧種に登録されています。ゾウはこの40年間で生息数が半分になりました。キリンはたった15年間で4割減りました。ライオンは70年前と比較し、わずか5%しか残っていません。(出展:National Geographic)。人間による地球に返すことができない持続不可能な開発のせいで、彼らがどんどんいなくなっています。

みなさん同様に私も動物を守りたいからこそ、木からできた紙を使うことがいいのか、ということを問い続けます。バナナペーパーは、世界の動物を守ります。ラッシュでも森からできた原材料をたくさん使っていると思います。私にとっても森を守ることは非常に大切なこと。実は、木を使わずに紙を作るということは、もともと和紙づくりで育まれてきた考え方なのです。

このバナナペーパーが生まれたアフリカの国、ザンビアに行ってみましょう。

ザンビアはビクトリア滝が有名な平和な国です。50年以上前にイギリスから独立してから一度も戦争をしていません。それでも残念なのは、この近くに住む人々が典型的な貧困問題に苦しんでいることです。

まず、綺麗な水がなかなか手に入らない。浅い井戸水しかないので、多くの塩分が入ってしまうのです。もちろん水道水は考えられない。また、病気になっても病院に行くことが難しい。かつ、お金がない。子ども達を学校へ行かせられるかどうか。これも難しい。仕事がないため、現金収入を得る手段として、残念ながら違法な森林伐採や密猟に手を出してしまいます。親が必死で自分の家族を守りたいからです。彼らは普通のお父さんたちです。そこで私たちが学んだことは、仕事があるかないか、かつサステナブルで、フェアトレードな仕事があるかどうかで、この問題は解決できるのではないかということです。

先ほどバナナの木を切って、茎は捨ててしまうとお伝えしました。私たちが自然から学んだのは、自然の中にはゴミがない、資源だということです。では、私たちは何ができるかというと、ここから繊維を取り出してペーパーを作ることができるということです。色々苦労しながら、失敗したり成功したり、時間をかけてやっとたどり着くことができました。

このバナナペーパープロジェクトが始まって、みなさんに伝えられる結果も出てきました。

まず、有機農業に関して。今、たくさんのグローバル企業が途上国でビジネスを展開するために化学肥料や殺虫剤などを無料で農家さんに渡しています。私たちはそのような農法が広がらないために、オーガニックな農業を支えるべきではないでしょうか。私たちは、オーガニックバナナ農家しか契約していません。

この1枚の紙のおかげで、30人以上の直接雇用、40以上のバナナ農家との取引をしています。ザンビアではマラリアが深刻な病気ですが、予防はとてもシンプル。蚊帳を設置すればいいのです。当初はそのお金さえもありませんでしたが、このバナナペーパーの仕事のおかげで、バナナチームメンバーは初めて蚊帳を買うことができました。また、マラリアについての教育を受けることもでき、おかげでマラリアが減りました。また、密猟者になりそうな普通のお父さんたちも雇っていますので、野生動物を守ることもできています。

綺麗な水がなかなか手に入らなかったことについては、グリーン電力で動いているバナナペーパー工場で、深い井戸水を入手することに成功しました。仕事が始まる前と後の2回、その綺麗な水を開放して、近くの村の女性が水汲みに来ることができるようにしました。また、バナナペーパー事業によって150人以上の子どもたちが学校に行けるようになりました。現在までに直接的、間接的両方含め、バナナ農家さんたち含め1,000人以上をサポートしています。

今日はたくさんサクセスストーリーをお話しましたが、2011年からこのプロジェクトを始めて、正直多くの苦労がありました。

現地に送金をしても、お金が届かない。繊維を取るための機械を導入し、電気を引こうとしても電力会社に掛け合って6ヶ月もかかりました。6ヶ月後、ついに電気が通った時、村の人たちは驚きました。「早いですね」って(笑)。この地域で電気を引こうとすると2年はかかるそうです。今度は、電気が通っても機械が動かない。コードが必要だったのですが、機械にどんなコードが必要か分かりませんでした。全てはゼロからでした。全部で4回コードを切り替えたのですが、途中でコードが燃えたり、爆発したり、プラグから煙が出たりしましたが5回目でやっと機械が動きました。

やっぱり苦労はいつもあります。でもそういう時こそ、宇宙からみた地球を覚えていてほしいと思います。大きな視野で考え、何のために私たちが生きているのか、何のために商品を作っているのかを忘れないことです。それは、より大きな価値のためではないでしょうか。

そのビジョンを忘れずに、チームメンバーとお客さんとみんなで一緒にパートナーシップを構築します。サプライヤーと一緒に家族を作ります。そういう「shared value(共有価値)」を作ることが非常に大事だと思います。短期的なことだけ考えると、サステナビリティは崩れてしまいます。だから長期的に考えましょう。そこで、最後にみなさんに紹介したいアフリカのことわざで今日のトークを終わりたいと思います。

Fast alone, far together.
(早く行きたければ、一人で行け。遠くへ行きたければ、一緒に行こう)

これから一緒に、さらに遠くを目指して行きましょう。
 

 <プロフィール>
株式会社 ワンプラネット・カフェ  
取締役・環境マネージャー ペオ・エクベリ
27年間のジャーナリストと環境コンサルタントとして、世界5大陸、60カ国以上を訪問。どの国にも環境問題がある一方で、解決策も必ずあることを知り、本当の利益と希望は、数億年の経験を持つ動植物や自然循環の中にあること理解。One Planet Caféでは、自然のルールに基づく「バナナペーパー」を通したグリーンビジネスの実践とパートナーシップづくりを行っています。
http://oneplanetcafe.com/

Photo credit: 株式会社ワンプラネット・カフェ

2018/7

 

バナナペーパー バナナ
バナナペーパー ザンビア
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