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【12/10 世界人権デー】日本に逃れてきた難民に、私たちができること
今日は12月10日世界人権デー。
世界では、人権侵害や迫害によって、母国から逃れざるを得ない人たちがいます。
母国の政府へ抗議の声を上げたこと、
国が認める宗教とは別の宗教に改宗したこと、
同性愛者など性的マイノリティであること、
などさまざまな理由によって母国で迫害を受け、保護を求めて他国へ逃れています。
このようにして難民となってしまった人々が日本にも逃れてきていること、しかし助けを求めても追い返されそうになっている方々もいることを、ご存知でしょうか。
母国で命の危険を感じて出国を決意する難民は、最短で逃れられる場所を行き先として選ぶことが多く、観光ビザを最初に取得できたなどの理由で、日本に辿りつきます。しかし、やっとの思いで日本にたどり着いた難民を、私たちは保護できていないのです。
日本に逃れてきた難民が滞在を続けるためには、難民申請をし、日本政府に難民として認めてもらう必要があります。昨年の2019年、日本で難民の申請をしたのは、10,375人。
一方、同年に政府が「難民」と認定し、在留を許可したのはわずか44人でした。
在留が認められないということは、母国にいつ返されてもおかしくない、ということです。母国に強制送還されれば、収監や拷問、そして命の危険にさらされる恐れがあります。
そのような不安な日々を過ごす難民にとって、もう一つの大きな障壁が、平均して3年にもわたる長い審査期間を待つ間、最低限の医(衣)・食・住もままならないことです。母国から持ち出した所持金が尽き、来日直後、ホームレス状態になってしまう人も少なくありません。
難民申請中に働くことが認められている人もいますが、日本語を話すことができず、文化や社会背景の異なる国で仕事をすることは容易ではありません。
また、コロナウイルス感染症は、難民の方々に特に大きな影響を与えています。これまで何とか頼りにしてきた周りのサポートが途絶え、今日明日の食べ物も尽きてしまい困っているという方や、日本に来て何年か経ち、日本語を覚えて何とか就職をした会社がコロナで休業になり生活苦に陥っている方もいます。
日本の難民受け入れの厳しさの根本にあるのは、難民を保護する、という政治的意思が十分にないことがあります。そして、政治の場で難民問題が重要な課題として取り組まれないのは社会で難民問題に関心を寄せる人が少ないことへの裏返しでもあるのではないでしょうか。日本に逃れてきている難民のことを知って、声をあげる、寄付をする、発信する、いずれも大事な意思表示です。
祖国で人権が脅かされ、自分たちを守ってくれる国や機関を失った人々が、日本に助けを求めて逃れてきたとき、私たち一人ひとりにできることは小さくても、その一つひとつが変化をもたらす原動力になります。
「つい最近まで、国を追われて困っている人たちのことをニュースや映画で見ていました。まさか、そんな大変なことが自分の国で起き、知らない国に行くことになるなんて夢にも思いませんでした」。これは、日本に逃れてきたシリア難民の方から聞いた言葉です。日本で暮らす多くの人にとって難民の境遇は身近に想像できるものではないかもしれません。しかし、この言葉からも分かるように、難民は日本で暮らす私たちと何も変わらない「人」なのです。 難民になりたくてなっているのではなく、紛争や国際情勢などさまざまな大きな力によって日常を奪われた人たちです。世界人権デーに寄せて、同じ人として、日本からできることを一緒に考えてみませんか?日本にいる私たちにしかできないことがあります。
難民支援協会(JAR)では、紛争や人権侵害などの迫害から逃れ、日本にたどり着いた方々が安心して暮らせるように、難民申請などの手続きや就労などさまざまな側面からサポートしています。
認定NPO法人 難民支援協会(JAR)
広報部 藤代 美香
Photo by JAR
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