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FEATURED

難民支援協会にきいた、日本に暮らす難民の方々のいま〈前編〉

6月20日は、世界難民の日。認定NPO法人難民支援協会(JAR)の代表、石川えりさんと広報担当の藤代 美香さんに、コロナウイルス禍における日本国内の難民の方々の現状について、〈前編〉〈後編〉にわたってお話を聞きました。

ラッシュジャパンは、2008年から難民支援協会(JAR)とともに歩みを進めてきました。チャリティポットでの支援をはじめ、「Refugees Welcome」限定ワッペンの販売や、古書を寄付する「チャリ本」キャンペーンなどを通して、10年以上にわたって日本国内の難民支援に携わるJARさんとコラボレートしてきました。

〈前編〉となる本記事は、日本国内に暮らす難民の方々の現状と、JARさんが行なっている支援の状況についてお話を聞かせていただきました。

 

***

 

ー皆さんはどういった活動をされているのでしょうか。

 認定NPO法人難民支援協会(以下、JAR)は、海外から日本に逃れてきた難民の方々を支援する団体です。2019年に、活動20周年を迎えました。当初は数人だったスタッフも、今では25人〜30名ほど在籍しています。年間約600名、通算で約70か国、7,000人以上の日本にやってきた方々を支援してきました。

 私たちの活動は、難民の方々への直接的な支援と、社会に向けたアプローチの2軸になっています。

 まず、来日して間もない方々を含め、日本に暮らす難民の相談対応を行っています。法律や制度面でのサポート、衣食住といった生活面での支援、さらに自立に向けた就労支援などを行います。

 また、社会に向けては、たとえば難民の方々が暮らす地域で、病院や公的機関が難民にも対応できるような手助けをしています。さらに、国内での難民制度の改善のための政策提言や、認知拡大への広報活動なども行っています。

 

ー日本に来る難民の方々について教えてください。

 そもそも難民とは、紛争や政治・宗教などによる深刻な人権侵害から逃れてきた方達です。母国を去らざるをえなかった方々が、日本にやってくるのです。

 彼らは必ずしも「望んで日本にきた」のではありません。たまたま、各国のビザを申請する中で日本がもっとも早く申請がおりた、ということを多く聞きます。もちろん、日本ならば安心して暮らせるという期待もあるかもしれません。

 ところが、その多くは実際に日本に来てから非常に厳しい現実を目の当たりにします。政府から難民認定の結果をもらうまでに、平均して約3年、長い場合で10年もかかってしまうのです。

 認定を待つ間も、政府から十分な支援があるわけではありません。就労資格もすぐに出ず、日常生活を送るうえで厳しい状況を強いられます。なかには所持金を使い切ってしまい、ホームレス状態に陥ってしまう方もいらっしゃいます。

 

ーコロナウイルス感染拡大は、どのような影響を及ぼしたのでしょうか?

 国内の難民の方々への影響として、3つのパターンをお話したいと思います。

 1つめは、日本に訪れて間もなく、コロナによる緊急事態に遭遇した方々。2つめは、来日されてから日が経ち、すでに就職をしていた方々。そして3つめは、難民申請が不認定となり、就労資格を失ってしまった方々です。

 

<1:来日まもない難民の行き場>

 まず、感染拡大が深刻化する直前に、難民として日本に逃れてきた方々がいます。

 難民の多くは最短でビザを取得できた国を行き先としているため、来日したからといって日本語がわかっていたり、知り合いがいたりするわけではありません。また、母国との物価の違いから、滞在して数日で所持金が尽きてしまうこともよくあります。

 知らない国でお金が尽き、泊まれる場所もなく路上で過ごすことになるのは、精神的・肉体的に大きな負担となります。

 コロナ以前であれば、モスクなどの宗教施設や24時間営業のお店などを利用して、なんとか雨露をしのいで夜をやり過ごす方々もいました。しかし、コロナウイルスの流行と感染対策によって、利用できなくなり、こういった限られた選択肢さえも失ってしまったのです。

 

<2:営業自粛の影響で職を失う>

 次に、難民申請中の結果を待っている方についてです。

 難民認定までには、平均で約3年かかります。審査結果を待つ間、働ける人もいますが、アルバイトや契約社員も多く、営業自粛の影響を大きく受けます。特にホテル業や飲食店で、真っ先にシフト減少や失業が起きました。仕事を失い収入がなくなって、数年ぶりに相談にきた方もいらっしゃいました。

 仮に新しい雇用の募集があったとしても、日本語能力などを理由に、今まで以上に仕事が見つかりづらくなっているのが現状です。

 

<3:難民再申請中の厳しい現実>

 そして、就労資格がないうえに、頼れる周囲からの支援が途絶えてしまった方々がいます。

 日本の難民認定率は1%にも満たず、ほとんどが不認定となってしまうのが現状です。ただし不認定となっても、迫害による命の危険があるため帰国できず、再申請をしながら日本での滞在をなんとか続けている人も多くいます。

 再申請者は就労資格がないため働くこともできず、国民健康保険にも入れません。彼らは特別定額給付金の受給対象にもならないのです。例えば、残り少しのお米以外、食糧が何もないと話す方もいました。

 なんとか、周囲から数千円ずつ必要なお金を借りて生活する方は少なくありません。入管に行くために2,000円借りたり、電気・ガスをなんとか止めないために、今月は電気代を払って、来月はガス代を払って……というように、数千円の借金をお願いするのも、本来なら辛いはずです。

 そんななか、感染拡大の影響で支援していた方も生活が厳しくなり、結果として支援が途絶えてしまい、さらなる困窮に追い込まれている方々もいるのです。

 

ーどうして難民申請に3年かかってしまうのでしょうか。

 2019年の法改正で、外国人労働者の受け入れは拡大しましたが、仕事を求めてくる人たちを労働者としてしかみておらず、生活の部分まで十分にはみていないのではないでしょうか。制度上、家族の呼び寄せができない人がいたり、できたとしても子どもの保育園や学校での対応が不十分だったりと、生活者としての課題に対応していく上で課題は多くあります。

 国にとって都合よくではなく、ひとりの「人」としての生活を受け入れていく姿勢が必要です。

 

<深刻な情報格差>

ー他にどういった難しさがあるでしょうか。

 難民の方々が日本で情報を得づらいことも痛感しました。2月末ごろ、すでに国内ではニュースが広まり、学校の一斉休校も始まっていましたが、難民の方のなかには私たちのメールを受け取ってから、初めてコロナを知った方も少なくありませんでした。

 日本政府の翻訳は、難民支援協会に来訪する方々が主として使うフランス語やアラビア語、ペルシャ語など、難民の方に多い言語が漏れがちです。言語面でも、政府からの支援拡充は重要ですね。

 また、スマホを持っていても、Wi-Fiに繋がるところでしかアクセスできなかったり、言葉の面で日本語の文章がわからないという点も挙げられます。かなり情報弱者の立場に追われてしまっているということが考えられます。今回のコロナの影響は、社会で弱い立場にある人たちにより強く出ています。

 

ー現在、どういった支援を行なっているのでしょうか?

 緊急事態が宣言されてからも、週4日を週2日にし、時間を縮小しながら事務所を開けて相談を続けています。また、食べ物を送るなど最低限の生活支援や、情報提供などを行っています。

 事務所をあけつづけるかどうかに関しては、議論を重ねました。例えば、1時間以上電車に乗るスタッフは緊急事態宣言の間は出勤しないようにするほか、スタッフは2チーム制にして交代で勤務するなど、難民の方に対する感染リスクを減らし、同時に支援を続けるための工夫をしています。

 また、各スタッフが電話相談を在宅で行なう体制を整え、メールや電話などでの相談受付も続けています。ただ、すべての方がインターネットを利用しているわけではないため、オンラインだけでは支援できる人たちが限られてしまうので、相談窓口で直接支援できる方法も残しました。

 4月上旬から現在までに、150人以上が事務所に来られました。事務所で昼食を提供したり、食糧がない方にはパッケージにして野菜やパン、果物を送付しています。

 また、ホームレス状態のままでは感染リスクが増してしまうため、シェルターがいっぱいの時はホステル代なども提供し、なんとか住居を確保しています。現在、30部屋のシェルターを用意しています。

 

ー現在の支援について、いちばん難しいと感じる点を教えてください。

 国内の支援は、まったく十分ではありません。ですが、私たちが感染源となってしまうリスクを考えると、支援も限定的とならざるを得ない状況があります。

 例えば、事務所まで移動すること自体もリスクがあるかもしれませんが、私たちが訪問することで無意識の感染者としてウイルスをうつしてしまうという懸念もありました。

 日本は6月20日現在、111か国に対して入国拒否を行っています。ですが、世界中で難民が生み出されてしまう人権侵害や紛争は、現在進行形で止まっていません。

 現状として、すぐに「彼らを全面的に受け入れます」とは言い切れず、解決策が簡単にでる段階ではないとも思いますが、より弱い立場におかれた難民の方たちについて、私たちに何ができるのかを考える必要があると思っています。

 

〈後編〉日本国内での難民認知を上げるために に続く

 

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難民支援協会
代表 石川えり
広報 藤代美香

難民支援協会 公式HP
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Interviewed/Written by Masumi Toyota

2020/06/20

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