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FEATURED

難民支援協会にきいた、日本に暮らす難民を知る〈後編〉

6月20日は、世界難民の日。認定NPO法人難民支援協会(JAR)の代表、石川えりさんと広報担当の藤代 美香さんに、コロナウイルス禍における日本国内の難民の方々の現状について、〈前編〉〈後編〉にわたってお話を聞きました。

ラッシュジャパンは、2008年から難民支援協会(JAR)とともに歩みを進めてきました。チャリティポットでの支援をはじめ、「Refugees Welcome」限定ワッペンの販売や、古書を寄付する「チャリ本」キャンペーンなどを通して、10年以上にわたって日本国内の難民支援に携わるJARさんとコラボレートしてきました。

〈後編〉では、日本国内の難民についてどのようなことができるか、そして私たち一人ひとりにはどんなアクションが起こせるかについてお伺いしました。

〈前編〉難民支援協会にきいた、日本に暮らす難民の方々のいま を読む

 

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ー日本国内での認知拡大について、最大のハードルは何だと考えますか?

 関心が生まれない理由の一つには、まず実感が持てないという点があります。

 外国人の方や、留学経験がある方には関心を持ってもらうことが多いです。海外で一人でいることの寂しさや孤独、大変さの経験から、日本にきた難民の方に気持ちを理解してくださったりします。

 いっぽうで、難民の方々がおかれている状況を、自分事として考えられる機会が少ないことが課題で、私たちもさまざまな形で広報に取り組んでいます。

 

ー自分事として考えるには、何が必要でしょうか。

 やはり、「自分だったら」と置き換えて考えることが重要なのではないでしょうか。

 自分の国でひどい暴力が起こり、知らない国に逃れた時に、寝泊りするところすらなかったらどうでしょう。また、自分の子どもと離ればなれで収容されてしまったら、どんな気持ちになるでしょうか。また、母国に帰れないのに、働く許可が降りず、支援もないと言われたらどう思うでしょうか。

 そのなかで、コロナウイルスの感染拡大が起きてしまったら……など、自分に置き換えて考えることが大切です。

 

ー国内の難民の方に関心を持ったきっかけを教えてください。

 きっかけは、前職の視察で訪れたドイツで難民に興味を持ったことでした。

 当時、メルケル首相がドイツに難民を受け入れて、各街々に割り当てる時期がありました。たまたま訪れていた工場の周辺地域でも、翌月から町の住民以上の数の難民の方が逃れてくるということで話題になっていたのです。日本でも、ニュースでヨーロッパの難民受け入れの報道が増えた時期です。

 帰国後、日本でJARが主催する難民アシスタント養成講座に参加しました。そこで、日本における難民の受入の厳しさや認定の難しさ、困窮する状況を知り、国際社会の一員として日本はこのままでいいのか?と責任や役割を感じ、思い切ってJARに転職しました。

 広報を選んだのは、関心を持ってもらったり、知っていただく活動を通して前向きな社会を作っていきたいと考えたからです。

 

ー今後の日本にとって、お手本になる国はあるでしょうか。

 カナダやフランス、ドイツ、イギリスなど、先進国はどちらも参考になると思います。

 特に、韓国も難民認定は厳しいですが、一昨年の認定が144人と、日本よりずっと増えてきています。韓国の難民支援団体が「従来の制度(現在の日本と同じようなもの)ではいけない」と、民間が発案して議員立法で法改正をしました。そういった意味でも、韓国も参考になるのではないかと思います。

 

ー国内の難民のために、できることは何だと考えますか?

 まずは、ぜひ関心を持っていただければと思います。世界難民の日をきっかけに、ぜひ調べたり、考えたりする機会にしてみてください。

 また、自分が支援に関わって参加するという意味で、寄付は貴重な手段になります。お金だけでなく、いらなくなった本や、ファンドレイズとして寄付を集めるイベントに参加するといった形もあります。

 

ー寄付の大切さの本質は、どこにあるでしょう?

 寄付には、クラウドファンディングのように直接的なリターンはないかもしれません。でも、それは「リターンがまったくない」ということではないのです。リターンは、「自分が望む社会、難民が支援を受けられる社会」という、大きな意義です。

 自分の1万円が誰かの宿泊費になり、露頭に迷わなくて済むようになること、食事が届くようになることなど、そういった「誰かのためのリターン」という考え方もできるのではないでしょうか。

 来日まもない難民の方の最低限の生活をサポートしつつ、就労という次のステップに進むために皆で応援することは、とても価値あることなのではないかと思います。

 

ー難民問題というと、何となく難しいような気もします。何から知るのがおすすめですか?

 映画を通して難民について知る、というのも一つの方法です。『アメリ』のオドレイ・トトゥが主演の映画『堕天使のパスポート』がおすすめです。

 日本で、私たちが感じる難民の不安定さや苦労、大前提としてある「難民認定されていない状態」の描写は、『堕天使のパスポート』で再現されています。

 イギリスに単身でやってきた難民申請中の、おそらくクルド人女性が主人公の物語ですが、突然お隣の人が捕まって収容されたり、不法就労の工場に摘発が入るなど、状況がすごくリアルに描かれています。

 それと『グッドライ』もおすすめです。難民キャンプからアメリカに受け入れられてやってきたスーダンの男の子たちが、孤独感に苛まれながらも、力強く生きていく話です。なんといっても、スーパーの倉庫から就労が始まるのがすごくリアル。難民に対してすごく厳しい風当たりがあったり、政府が杓子定規な対応だったりするのも切実ですね。

 ほかにも、#おうちで難民映画祭の企画でみなさんから募集した、難民を描いたおすすめの映画を紹介していますので、ぜひ観ていただければと思います。

 

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難民支援協会
代表 石川えり
広報 藤代美香

難民支援協会 公式HP
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〈インタビュー後記〉

 今回のインタビュー取材を通して、難民問題が海を越えた遠いニュースではないことを、あらためて大きく痛感しました。働くことも社会保障を受けることもできず、もちろん祖国に帰れず袋小路の状態で、必死に生き延びようとしている誰かが、いまこの日本で一分一秒を私たちとともに過ごしているのです。

 彼らが生活をする時、「難民」という目印があるわけではありません。つまり、偶然すれ違ったその人が、たった今、困窮している可能性だってあるのです。

 人間として最低限の事かもしれないけれど、誰かに助けを求められたら、心よく手を差し伸べること。また、誰もが安心できる正しいサポートをするために、正しい基礎知識を身につけることが、私たちにとって最初にできる第一歩なのではないでしょうか。

 

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Interviewed/Written by Masumi Toyota

2020/06/20

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