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みなかみの恵みから生まれたイヌワシペーパー

2018年春に登場したギフトコレクションに続き、今年のクリスマス限定ギフト商品にも使われている「イヌワシペーパー」。多くの自然の恵みを使って商品を作っているラッシュは、この先もお客様に商品を届け続けるため、生物多様性の再生へめざし、新しい形で紙づくりに携わり始めました。

 

「もともとラッシュは商品に使う原材料に対して、社会や環境にポジティブな影響を与えるという信念を持って原材料の購買活動をしてきました。世界中のラッシュのバイヤーたちは何年もの間、持続可能な原材料を調達する"サステナナブルバインング”を掲げていました。ただ、昨今みなさんも感じているかもしれませんが、地球上に存在する社会的、環境的な課題は深刻化していて、今普通に原材料を調達しようとすると持続的なものってないんですよね。なので僕らは持続可能な購買というの少しを諦めることにしました」。

 こう話すのはラッシュジャパンでバイヤーとして15年間フレッシュな商品の原料調達に注力し続けているTakashi。

 「極論ですけど、このまま続けても持続可能なんてありえないと思ったからです」。

 ラッシュのバイヤーたちは新しい原材料の調達方法を切り拓く必要性が求められていました。お客様が手に取る商品の数々も元を正せば多くは自然の恵み。その原材料が再生可能な形で調達できなければ、この先ラッシュはお客様に商品を届けることができなくなる。だからこそ、未来を見据え、ラッシュが原材料を購買をすることで社会や環境に対して再生的な活動ができないかと考え始めたと言います。それが2016年から少しずつ始まったリジェネレイティブバイイング(Regenerative Buying)という考え方です。

 「リジェネレティブバイイングとは、日本語にすると再生的購買、再生可能な原料調達という意味で、ラッシュのバイイングチームでは2年前くらいから “サステナブルバイイング”に代わり、これを掲げて商品の原料調達を始めました」。

 リジェネレティブバイイングにおいて、バイヤーたちが注目しているのが、渡り鳥。人間が決めた国境にとらわれずに世界中を飛び渡ることから、ブランドの信念に「Freedom of Movement(移動の自由)」を掲げるラッシュにとって象徴的存在でもある渡り鳥を追いかけ、その先々で再生可能な原材料を探す購買活動が始まりました。一見闇雲な活動に思えますが、実は多くの渡り鳥が今日、中継地先での著しい環境の変化や違法な狩猟などで絶滅が危惧されており、彼らが存続していくためにこの先々の環境改善が一刻も早く求められているのです。逆に言えば、渡り鳥が向かう先々の環境を自然だけではなく、その地で暮らす人たちの経済の循環も見据えた上で豊かさを探求していくことで、渡り鳥を守るだけなく、周辺の地域コミュニティさえも再生していくのがこの活動です。

 そして日本においてもバイイングチームのTakashiを筆頭に日本にいる渡り鳥を追い始めたところ、行き着いた先は群馬県みなかみ町で公益財団法人日本自然保護協会が行なっている「赤谷プロジェクト」。1万ヘクタールという山手線の内側の面積よりも広い赤谷の森で、人工林を伐採することで森の豊かさを復元し、生物多様性のある森を取り戻すプロジェクトです。この背景には、現在日本が抱えている人工林の問題があります。国土の7割を森林が覆っている日本は一見自然豊かに見えますが、実はその4割は戦後国内における木材需要の増加から人間の手によって植林された人工林。植えた木が育つまでの間、木材を海外からの輸入に頼ってきた日本では現在、適切な管理がされないまま生態系の循環ができない状態になっている森が各地に存在しています。

 「でも僕たちいきなり失敗していて、渡り鳥を追い始めたのに、赤谷の森に生息するイヌワシって渡らない鳥だったんです(笑)」とTakashiは話しますが、森の生態系において食物連鎖の頂点にいるイヌワシは昔から豊かな森の象徴として知られています。しかし、今日本では残り約500頭しか生息しないイヌワシは絶滅が危惧されています。適切な管理がされずに木が密集している人工林では、翼を広げると2メートルにもなるイヌワシが上空から獲物となる野ウサギやヘビなどの動物を探すことができません。またこのような森には、太陽の光が入らないため地表の植物も育たず、森に暮らすイヌワシ以外の動植物も生きづらい環境になり、木はやせ細り、大雨による土砂災害も起こりやすくなってしまいます。

 そこで赤谷プロジェクトでは、人工林も多く残る赤谷の森にイヌワシが狩りをしやすい環境を作るために間伐・皆伐し、生態多様性豊かな生態系を復元させる活動が長年行われています。その結果、赤谷の森では6年ぶりにイヌワシのペアが子育てに成功するという嬉しいニュースもありました。伐採された木材は自然の恵みとして地域振興に使ってもらいながら、地域コミュニティを豊かにすることでみなかみ町全体の豊かな循環も行われています。

 特定の原材料を求めてその土地を訪れるのではなく、その土地の環境や生態系を見て、そこにある自然の恵みをどう商品に使おうか考えることがラッシュのバイイングチームの姿勢。今回も木を求めて赤谷の森を訪れたのではなく、鳥を追い求めるうちに出会った現地で活動されている方々の熱い想いが、この地で再生可能な原料の調達を行いたいという気持ちにつながり、赤谷の森とみなかみ町を豊かな環境と経済の循環が行えるリジェネレティブな形にしていくイヌワシプロジェクトを始めるきっかけとなりました。こうしてこの地域で何かできないかと思考を巡らせた結果生まれたのが、みなかみ町で日本の伝統的な工法で家づくりをする過程で出た木くずを原料にしたイヌワシペーパーです。

 「人と自然が共生していくなかで木に関わらないことはなく、今回のような形で出た木もきちんと考えられた状態でものづくりをできれば、木くずでさえもラッシュにとっては"くず"ではなく大切な原料、素材。新しい形で木に頼ってみようと思いました」とTakashiは言います。

 今回イヌワシペーパーの開発にあたりキーワードとなったのは伝統文化。木を伐採することで森の姿をあるべき姿に戻し、地域の職人がそれを加工、そこから出た木くずを四国で400年続く老舗の和紙屋さんで和紙にしてもらうことができました。今日使用する場面が少なくなってしまった和紙をラッシュの独特で鮮やかなカラーなデザインでプリントすることで、和紙特有の風合いや肌触りを残したまま、「和紙は高くて古いもの」「古いものは古くてダサいもの」ではなく、「古くて良いもの」という新しい価値を生み出しました。こうしてイヌワシペーパーが完成しました。

 継続的かつリジェネレイティブな環境保護には、地域づくりの側面も忘れてはいけない重要な要素です。そんな思いから、イヌワシプロジェクトでは、イヌワシペーパーの他にもう一つ、カスタネットペーパーも生まれました。実はみなかみ町はカスタネットの生産地として有名で、赤谷の森の木材を使ったカスタネットを製造する工房で出る木くずを利用してつくられたギフトペーパーです。森を豊かにしていくために人が手を加え、そこから得た恵み(木材)を生活に役立てていくという循環がそこにはあります。 

 このような背景で生まれた2種類のギフトペーパーですが、生産・調達するにあたってもちろんコストはかかります。しかしこれらのギフトペーパーは、今日時点でのコストではなく、10年、20年先の地球規模でのコストを見据えて調達をしています。これはイヌワシペーパーだけではなく、全ての原材料調達においてラッシュのバイイングチームが大切にしていることです。

 まだ始まったばかりのイヌワシプロジェクトですが、2018年9月、赤谷の森の恵みである木材を利用し、森を豊かにしていくスタートアッププロジェクトが国内2例目となるRe:Fund (Regenerative Fund、リファンド)に採択されました。

 Re:Fundは、世界中で社会や環境の再生に向けた取り組みを支援し、サプライチェーンの長期的なレジリエンスの構築に取り組みながら、「避難と災害(Displacement & Disaster)」「パーマカルチャーと生態系農業(Permaculture & Agroecology)」「再野生化と生物多様性(Rewilding & Biodiversity)」という3つの分野で率先的に活動している団体と相互的に利益のある関係を構築することを目的に発足した、ラッシュがグローバルで運営している基金です。今回の赤谷の森でのプロジェクトでは、およそ2ヘクタールの土地に桐の植林を行い、かつてこの地域に存在した山裾に桐を植える文化を復活させることを目的に、ラッシュと日本自然保護協会、そして地域コミュニティが協力して、環境にも地域経済にも価値を生み出す活動を植林を通して行います。桐は植林して5年ほど経つと、毎年春に紫の小さな花を咲かせます。「プロジェクトが始まって5年後には、関係者みんなで花見をしたい」と話すTakashi。

 森から地域へ、地域からお客様へ、そして大切なあの人へ。今年のクリスマスはカラフルなギフトペーパーに包まれたプレゼントだけではなく、みなかみの豊かな自然やコミュニティの再生をめざしたストーリーも一緒に届けてみませんか?

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みなかみの恵みから生まれた「イヌワシペーパー」 を使ったラッシュのギフト
ラッシュ LUSH ギフト 贈り物 和紙 クリスマス クリスマスギフト 生物多様性 イヌワシ サステナブル プレゼント

「和紙は高くて古いもの」「古いものは古くてダサいもの」ではなく、「古くて良いもの」という新しい価値を生み出しました。

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