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シアバターからコミュニティの再生を

2017年11月、ラッシュのサプライヤーで、ガーナでシアバターをオジョバ女性協同組合(Ojoba Women’s Shea Butter Cooperative)の経営母体であるOjoba Collectiveの創立者、ヨハンとトレーシーが来日しました。

長年、北米で環境保護や野生動物保護の活動、社会的正義のための運動に携わってきたヨハンとトレーシーが出会って20年。二人はその間、ガーナでビジネスを立ち上げ、シアバターの生産を続けながら、様々な"Regenerative”なプロジェクトに関わり続けています。

今回は、そんな二人にガーナでオジョバ女性協同組合を設立した背景や、シアバターの生産以外に取り組んでいるプロジェクトについて、ゆっくり話を聞くことができました。

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時を遡って15年前。二人は、ガーナを訪問することになりました。

ヨハン 「ガーナに行ったのは目的は、実はビジネスではありません。音楽を学ぶためでした。ソウル、レゲエ、ロックなど全て音楽のルーツはアフリカにあります。そのルーツを学ぶために休暇でアフリカに行くことにしたのです」

そこで見たのは、かつて見たことがないほどの貧困でした。

ヨハン 「ガーナの貧しい農村で、人々はひどく飢えていました。メディアによく出てくるお腹がパンパンに膨れた子どもたち。服を身につけていた人も稀。その村でシアバターが作られていたのです」

当時の2人のビジネス経験はほぼゼロ。それでも、その場所で出会った人々と心がつながったと言います。

トレーシー 「現地の人たちは欧米にシアバターの需要があることを知っていたので、私たちに販売できるマーケットを見つけてもらえないかと相談をしてきました。私たちはビジネスの経験がなかったので、何も約束できませんでした。ただ、どうせやるなら責任あるエシカルな方法で、公正な取引をしたい思ったので、生産者である女性たちに会って、彼女たちから話を聞くことにしました」

ヨハン「木の下に集まって話をしていたら急に村に電気が通ったんです。3ヶ月も電気が通ってなかったのに。電気がついた途端、みんな踊り始めました。そうしたら彼女たち、『これがサインだ』なんて言うんです。プレッシャーはありましたが、もう前に進むしかありませんでした」

これがOjoba Collective設立の瞬間でした。

設立当初はシアバターの生産に携わる女性は50人いました。若い人は少なく、60歳以上がほとんどでした。当時、女性たちの暮らしについても話を聞いていると、ポジティブな話よりも、気の毒に思うようなことがたくさんあったと言います。

トレーシー 「Ojoba Collectiveがあるのは、ブルキナファソとの国境に近い乾燥地域。農家として生活を営むこのコミュニティが雨の恩恵を受けるのは一年のうちたった数ヶ月です。一年間に必要な食べ物はその期間中に栽培し、乾季に少しずつ食べていくために保存しますが、食べ物が十分に全員に行き渡ることはありません。そのため大人たちは、乾季になると劣悪な環境の強制労働も含め、出稼ぎに行きます」

設立から15年がたった今では、女性たちは笑顔に溢れますが、女性たちはこれまで多くの苦しみを経験してきました。

トレーシー 「病気が蔓延して、女性器切除や皮膚切除、家庭内暴力も起こっていました。今は状況が大きく変わりましたは、女性たちの中には過去を忘れたいという人もいます」

ヨハン 「彼女たちの苦労の理由の一つが一夫多妻制の社会であるということでした。一人の男性に二人以上の妻がいますから、一家族にたくさんの子どもがいました。これは家父長制社会の話につながるのですが、彼女たちの本業は農家で、男性たちも働きますが子どもの面倒を見たり、農業においては、女性ほど働きません」

トレーシー 「女性たちに昔のことを聞くことはありません。聞いても『その時のことは話さない』と言われますね」

シアバターを作る女性たちは、農業従事者であるため、シアバターの生産に関わるのは週に数日、1日に数時間です。

ヨハン 「受注ベースで生産を行い、現在年間約100トンのオーガニックでフェアトレードなシアバターを生産しています。生産量を2倍、3倍に増やすこともできると思いますが、それをしないのは我々が誰にでも販売をしないからです。購入したいというオファーに対して、断ることの方が多いのではないでしょうか。価格交渉する企業もありますが、やり方や考え方が合わない相手にシアバターは売りません。女性たちが現地でビジネスを運営しています。価格はフェア、公正でなければいけない。そうでなければ、女性たちのエンパワメントにつながりません。女性たちのことを考えず、シアバターだけ欲しい相手には、Noと言います。絶対、話を受けません。我々はビジネスを大きくするためだけにそのようなことはしたくないのです」

トレーシー 「彼女たちが毎日工場で少ない収入を得ていては、素敵な人生を送れないでしょう。彼女たちにとってこれは単なる収入源ではありません。彼女たちは自分たちの別のビジネスに投資をするため、農業のため、そして自分自身のために働いています。ただし、受注が増えて私たちのビジネスが大きくなれば、オジョバで働く女性の数が増えます。始めた当初は50人でしたが、今は500人に増えました。バランスを取り続けることが大切です。エシカルでいたいと思います」

ヨハンとトレーシーはシアバターを生産し始めてからずっと、女性たちに伝えてきたことがあります。それは、このビジネスが明日なくなるかもしれないということです。

ヨハン 「だからこそ、収入源を多様化することをずっと彼女たちに伝えてきました。取引先も組合も彼女たちの人生を保証してくれると思わないこと。気候、フェアトレード、シアバター、どれも暮らしの保証になることはありません。何が起こるか分からないからです。だから、オジョバの女性たちは複数の仕事をしています。農業の他にも、例えばソープや化粧品、シャンプーをつくって、マーケットで販売しています。私たちは小規模企業経営のノウハウを彼女たちに教えています。会計についても話をしました。お金の扱い方、収入を得るためのコツ、注意すべきことですね」

ヨハンとトレーシーは、女性たちと一緒に、コミュニティだけではなく、その土地の再生、そして生態系を自然な状態に戻すことに熱心に取り組んでいます。その中で、最近始めた野心的な環境再生プロジェクトについて話を聞きました。

ヨハン 「昔、今は亡きパウロと一緒に働き始めて、互いのパーマカルチャーや土壌など、共通する知識を持っていたので、ソーラ発電を始めるなどコミュニティのための新しいアイディアについて話し合っていました。その後、次第にサステナビリティやリジェネレイティブにフォーカスしたプロジェクトに取り組み始めました」

ヨハン 「今取り組んでいるのは、複数年に渡るプロジェクトです。まず絶滅が危惧されているシアの木を植えます。アフリカでは薪木として使える硬材の需要は圧迫していて、シアの木は薪木として伐採されてしまい、植樹が必要なのです。電気コンロはありません。そこで、我々はアフリカ原種の乾燥地帯で育つ竹を見つけたんです。とても早く育つ竹です。シアの木や硬材への需要を抑え、自生樹木を守るために薪として使える竹を育てています。アフリカで木の伐採は大きな問題ですからね」

彼らは、より持続可能な農業をしていくために土壌の窒素含有量を増やすための土壌改善に取り組んでいます。

ヨハン 「コミュニティに対してよりサステナブルな農法技術トレーニングも行いました。その他には、小規模なビジネス、例えば養蜂も始め、何百ものハチがこの地域に戻ってきたので、養蜂による新たなビジネスがコミュニティで立ち上がりました。今新しいハチの巣箱も作っています」

この環境再生プロジェクトを始めてもうすぐ2年が経つといいます。昨年、もっと効率よく火を焚くことができるように、女性たちは土性のロケットストーブを作るトレーニングを受けました。

トレーシー 「シンプルな作りで彼女たちにも馴染みがある形をしているので受け入れられやすかったです。バイオ燃料もつくりました。シアバターの製造過程で出る"かす"を使ったのでごみはゼロです。木を燃やさなくていいんです。この"かす"はコンポストにも使えることがとても素晴らしい点です。"かす"だけでは足りないので、竹も加えます。小さくてもたくさんの利便性があります」

大切なポイントは、コミュニティ再生のために女性たちに教える農業技術が昔からアフリカで使われていたものだということです。現代社会の中で、欧米からの技術がこの地域にも入って来たため、アフリカに暮らす人たちはそれを受け入れてしまっていたとトレーシーは話します。

トレーシー 「昔は木を伐採せず、木の下で作物を育てるアグロフォレストリーが行われていました。この地域では雨が少ないため、農業だけで食べていくのは難しい。1年のうち8ヶ月から10ヶ月は乾季ですので、木から採れる食べ物が必要なんです。私たちはそのようなケースを探すために、ブルキナファソやマリの奥地まで出かけました。私たちのコミュニティに暮らす女性たちに昔ながらの農法を紹介したいのです。古き良きノウハウを持っている人たちと彼女たちが繋がることができれば、自分たちのコミュニティを再活性化できると思います」

ヨハン 「この環境再生の取り組みの大部分を占めているのは技術知識を伝えることではありません。むしろ、コミュニティが一つになって話し合うこと。そうすることで人々の考え方に変化が生まれます。私たちが彼女たちに指導するのではなく、彼女たち自身が前に進むために古き良きノウハウを伝える手助けをしたいのです」

さらに彼らは今、鳥類の研究にも関わっています。

ヨハン 「アフリカを通ってヨーロッパに行く渡り鳥がいます。ガーナの鳥類専門家と一緒に、その渡り鳥の数を数えています。オジョバの女性の中にも鳥に興味がある人がいます。ガーナでも多くの人が、女性たちのことを『読み書きもできない馬鹿な奴らだ』『彼女たちが知っているのは、自分らが暮らす小さな村のことだけ』などと言いますが、彼女たちにハイテクな機械を見せれば、彼女らはその機械を組み立ててしまうでしょうね。本当に頭が良い。彼女たちには機会が与えられていないだけなんです。世界のこういう側面に怒りを覚えます。多くの人は彼女たちをただの貧しい人、無知な人だと思うでしょう。彼女たちは我々より多くのことを知っている。これが事実です」

外部のエンジニアに来てもらい、農業技術などのトレーニング提供してもらった時、女性たちはトレーニングの後しっかり質問をしたと言います。

トレーシー 「読み書きができないからこそ、彼女たちの記憶力には目を見張るものがあります。ある時は『5年前にあの日にこういうことがありましたよね』なんて聞いてくることもありました。私たちの方がそんな詳細まで覚えていないくらいです」

Ojoba Collectiveが立ち上がり、シアバターの生産や女性たちがビジネスを始めることで、コミュニティの中のパワーバランスが変わってきたといいます。

トレーシー「私たちが初めてガーナに行った時、虐待が起こっていました。当時は一夫多妻制が当たり前だったからです。女性たちは競争ばかりして、そこに協力はありませんでした。さらに彼女たちは『私たちには何もできない』『私たちが何かを変えることなんてできない』『こんなことをしたら夫がなんて言ってくるか分からない』『自分が生んだ子どもが結婚できなくなるかもしれない』なんて言っていました。でも、みんなで協力すれば、他の女性たちも同じように立ち上がれば、できることがたくさんある。そうして、女性たち一人ひとりの自尊心が高まりました。経済力を持つことができたからです。少しずつですが、自分自身のことを大切にできるようになり、彼女たちの夫もそんな女性たちを尊重、尊敬し始めたのです」

ヨハン 「彼女たちは、今地域でとても尊敬されています。エンパワーされた女性たちは各家庭でも大切にされ、仕事がない男性もいますから。女性がお財布を握っているんですね。それはとても大きな意味を持っています。一夫多妻制から一妻多夫制に変わったりしてね。それは良い社会かもしれません。女性の方が賢いですから(笑)」

トレーシー「私たちはいつも女性たちに家庭での様子について話を聞きます。家庭内暴力が起こる一つの理由は貧困によるストレスです。ストレス発散のために暴力的な行動に走ります。今では家の中のストレスが軽減されて、家庭内にハーモニーが生まれています」

最後に、ガーナの地でコミュニティの再生に取り組む二人はただのシアバターのサプライヤーではないですね、と二人に伝えると、「我々はみんなRegenerator(再生家)だね」と笑いながら返してくれました。

「大切なのは、passhion(情熱)とcompassion(思いやり)」と語る二人からまた話を聞ける日が待ちきれません。

 

シアバターの生産者ストーリー「シアバターの恩恵」はこちらから

Ojoba Women's Shea Cooperate
Johan Tracy Ojoba
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