FEATURED

海洋プラスチック汚染問題に解決策はあるのか?

「海洋プラスチックごみに、これ以上の決議や宣言、条約は無意味。必要なのはもっと多くのアクションです。」とイギリスの環境ジャーナリスト、オリバー・ティッケルは訴えます。

2017年12月、ケニア・ナイロビで開催された「第3回国連環境総会」で、海洋ごみとマイクロプラスチックに関する決議が採択されました。合意された内容は、具体的、かつ強い表現でまとめられたもので、世界中の活動家やメディアから広く歓迎されました。2025年を目処に「あらゆる海洋汚染を防止および大幅に削減し、陸上活動を主に、海洋ごみや栄養素汚染に取り組むこと」と具体性のある内容でした。

各国が決議を規定通り履行すれば、現存の海洋のプラスチック汚染問題は解決への道へ進んでいくでしょう。しかしこれらの決議には法的拘束力がなく、国連加盟国にこれらの行動を「促す」「勧める」「提案する」という内容であり、義務付けや要求、強制する内容ではありません。そもそも、国を超えて拘束力を持つ国際法や国際司法機関は存在せず、国際政治の舞台において、取り決めが文字通りに実行されるかは、各国政府に委ねられているのです。

でも、何故ここまで確信が持てるのか?

国際法の実効力には期待が持てない一方で、国際法機関はすでに海洋プラスチック汚染や海洋ごみを禁止しています。

私は、海洋プラスチックを含む海洋ごみ問題を解決するための新しい国際条約を成立させるため、環環境保護団体、Artists Project Earth(APE)と共に取り組んできました。その活動の中で、この問題に適用される、現存の法的規則とあらゆる法的文書の見直しをしてきました。(私の報告書はこちらから読んでいただけます)

わかったことは、海洋環境にプラスチックごみの流出を黙認している国々は、おとがめなしに数々の法を侵しているということです。例えば、国連海洋法条約(UNCLOS)の第194条は、次のように述べています:

「いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するため、利用することができる実行可能な最善の手段を用い…この措置には、特に、次のことをできる限り最小にするための措置を含める…毒性の又は有害な物質(特に持続性のもの)の陸にある発生源からの放出、大気からの若しくは大気を通ずる放出又は投棄による放出(及び)この部の規定によりとる措置には、希少又はぜい弱な生態系及び減少しており、脅威にさらされており又は絶滅のおそれのある種その他の海洋生物の生息地を保護し及び保全するために必要な措置を含める。」

ロンドン条約(1972年の廃棄物その他の物の放棄による海洋汚染の防止に関する条約)も同様の規定を定めています。バーゼル条約は有害廃棄物の国境を越える移動を規制する条約で、加盟国のプラスチックごみが他の加盟国の海岸や水辺に移動することを防ぐもので、国内法の中で都合よくプラスチックごみを“有害廃棄物”としているだけの簡単な取り決めとなっています。しかし、私が知っている限り、この非常に簡単な行動をとっている国は一つもありません。

このほかにも、北東大西洋(オスパール条約)、地中海(バルセロナ条約)、バルト海(ヘルシンキ条約)、黒海(ブカレスト条約)、カリブ海(カルタヘナ条約)など、地域別の海洋環境条約は数多く存在しています。海洋汚染を防止するために具体的な対策を定めている内容も含まれています。バルセロナ条約はとくに、海洋流出を防止する海洋ゴミを「海洋および沿岸環境に廃棄、処分、または放棄された、製造または加工された難分解性固体物質をいう」と具体的に定めています。

加盟国が期限付きで要求されている行動の中で「2017年までに、拡大生産者責任戦略に基づいて可能な限り予防策を模索し実行すること。生産や製造の企業主、そして輸入者が商品のライフサイクルに責任を持ち、廃棄物管理の優先レベルをもとに対策を行うこと。」と述べています。

ですが2017年末の時点において、この義務が履行される様子はありません。それは、他の法的規則や条約の履行状況にも同じことが言え、法的根拠のもと期待されている各国の海洋汚染における管理責任は果たされていません。

つまり、現状の決議内容では、世界の海洋プラスチック問題が解決されないことは明らかです。同様に、環境汚染のない地球を目指す閣僚宣言に関しても同じことが言えるのではないでしょうか。

必要なことは、新たな法律や条約、決議や宣言ではなく、現存する法のもと国際司法機関や仲裁機関が執行力、つまり法の履行を強制させる力を持つことなのです。

しかし、これは決して簡単なことではありません。。国際法には、取り締まりをする警察組織や検察当局が存在しません。国民や活動家、NGO団体にも公的な権力はありません。残された道は、条約に参加している国や地域が、条約違反者に対し法的紛争を申し立て、適切な補償を求めていくことです。とはいえ、外交的・政治的・経済的なしがらみが付きまとう国際政治の世界では、そのような行動を取れる国が少ないのが現状です。

となると、この問題は一般の人や活動家、NGO団体もすべての市民社会にかかっていると言ってもいいでしょう。国際法の道徳的な力を発動させ、政府が誇り高く、私たちの海を守るめの法的義務を履行する状態をつくることが重要です。またそういった国と地域が、違反者に適切な行動をとらせるため、法的手段を行使しなければいけません。そして、私たち自身もそのような努力を行う国々を最大限サポートをする必要があります。

詳しい情報や、「国際法と海洋プラスチック汚染:違反者に責任を課す」のレポートは、APE-UKのウェブサイトをご覧ください。

オリバー・ティッケルは、イギリスのリサージェンス&エコロジスト誌の寄稿編集者です。

もし、“決議に合意の表明をしたすべての国々が規定通りに行動すれば、海洋プラスチック問題のほとんどが解決されることでしょう。でもどの国も行動を起こしていないのが現状なのです。”

コメント (0)
0 件のコメント