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カエル育む米づくり(後編)

サシバが暮らす山口県の田んぼで、カエルを育むお米をつくる「山口かえる米倶楽部」田原義寛さんのLush Life。

「カエル育む米づくり(前編)」はこちら

 

まるでわが子を見守るように、カエルを育んでいる田原さん。カエルと人間が似てるところってあるんですか?

 面白い話があって、カエルって基本的にはオスしか鳴かないんです。オスが鳴いて、メスを呼ぶんです。メスが田んぼに来る時期は決まっているので、オスは、その時は、それはそれは一生懸命鳴いて、ガールハント、ナンパしてます。おまけに、メスは、一度に、大量に集団でやってくるわけではなくて、小出しに出てきます。つまり、オスを焦らすんですね。田んぼに居るメスの数は、結果として、常にオスの数より、かなり少ないので、メスは圧倒的にモテます。本当にモテモテです。ただ、1匹のメスにオスたちが殺到して、もみくちゃにされることもあるんですけどね...。ツチガエルっていうカエルがいるんですけど、青森にいるツチガエルと鹿児島にいるツチガエルはオスの鳴き方が違うんです。方言が入ってるんです!だから、同じツチガエルでも、青森にいるオスが鹿児島にいるメスに鳴いても理解されないんです!そこでカップルは成立しないんです。

 

今、日本各地で里山を保全しようという動きが見られます。田原さんの活動フィールドも里山ですが、なぜ里山は守らなければいけない対象になってしまったのですか?

 残念ながら、絶滅危惧種と言われる生き物の5割は里山に生息する生き物です。人々の生活様式が変わり、農業のやり方が変わり、その影響をもろに受けているのが生き物たち。里山って、人間と自然が共に営んできた環境なんですけど、最近は人間の都合で自然に対する関わり方が変わってきてしまった。特に最近はそれが奇特に変わってきてしまいました。昔だったら人間が手作業で草を刈ったり、手で稲を植えたりしてましたが、最近は機械を使って一気にやってしまうことが圧倒的に増えました。それに合わせて田んぼも変わった。大きくしたり、水がきちんと行き渡るように水路はコンクリートにしてしまったり。そういうことによって、人間の都合によって効率化して、失った自然環境があります。それによって里山が本来持っていた力が失われてきたんじゃないか。なので、もう一度里山を見つめ直して復活させたいという方が全国各地にいらっしゃるのではないかと思います。

里山には人間がいますよね。自然って人間が放っておいても元気でいられるものじゃないんですか?

 僕は生態系を勉強してきたんですけど、生態系の学問の中に「中程度の撹乱」という話があります。これは何かというと、自然はありのままに放っておいてもダメでして、実は多少人間が介入することで、適度に撹乱を加えることで生物の多様性が高まるということです。

僕は里山の生態系を勉強してきたんですけど、生態系の学問の中に「中程度の撹乱」という話があります。これは何かというと、自然はありのままに放っておいてもダメで、実は多少人間が介入して、適度に撹乱を加えることで生物の多様性が高まるということです。

 洗濯機、ありますよね。くるくるとかき混ぜることで、洗濯物を綺麗にする。その仕組みと似ていて、里山の環境を壊さない程度にくるくるとかき混ぜることで生物多様性が高まるという説です。ただ、そのバランスが絶妙じゃなきゃいけなくて、例えば2018年にも、西日本で豪雨・水害が起き、町が水没してしまうことがありました。北海道でも大きな地震により地崩れが起きてしまいました。津波が来る、台風が来る、火山が噴火する。これらは大きすぎる撹乱なんです。撹乱が大きすぎると全てが破壊されてしまう。少しずつ再生には向かいますが、たびたび起こると、住みづらいんです。里山の木を適度に伐採して、陸地に水を入れて、田んぼで米づくりを行って環境を整える、これは「中程度の撹乱」です。

 人間と自然の営みが共にある里山では、いろんなところで中程度の撹乱が起こっています。撹乱が起きることによって生き物が育まれる環境が作られます。だから里山には多種多様な生き物がいる。秋吉台の草原でいうと、草原を維持するために毎年野焼きをしています。それで死んじゃう生き物もいますが、逆に撹乱することで生活できる生き物もいます。人間のさじ加減によって生物多様性を高めることも可能なんです。

 ひと昔・ふた昔前の自然保護の考え方だと「自然は神の手に委ねられてるから人間は触っちゃいけないんだ」いう考えもありました。今でも高い山などでは人間が触らなくてもバランスのとれた生態系が維持されるような環境はありますが、こと日本に限っては、人間は津々浦々に住んで、ずっと自然と共生して生活を営んで、育まれてきた里山があります。そこでは中程度の撹乱が起きてきた。今は、人と自然の関わりが変わってしまったんで、蝶々やイヌワシなんかも生活の場が奪われてマイノリティになっちゃった。

 僕は7月くらいに手刈りでこの辺りの草刈りをするんですけど、そういう場所は数年でお花畑ができるんです。びっくりするくらい綺麗な。人間の手が加わることで太陽の光が地面近くまでよく当たるようになって、小さな植物が芽生えて、そこからたくさん花が咲くんです。普段はススキやクズといった大きい植物が威張っているんですけど、野焼きをしたり草を刈ることで、「みんなちがって、みんないい!」生物多様性の高い環境が生み出されるので、面白いですよ。

意地悪かもしれませんが聞きます。田原さん、米づくりとカエルの育み、どっちが大切なんですか?

 僕の家族は、祖父の前の前の前のずーっと前からここでお米をつくってます。ここで人が生きるためにお米を作ってきたので、お米を作ることは大事です。 ただ、今の時代を考えてみると、お米だけできれば、全部オッケーとは思わないんです。特に里山の環境では人間の関わり方が変わってきてしまったので、より生物が生きやすいような生物多様性の高まりを生めるようなお米づくりをするってことは、これから未来にとってもすごく大事な役割だと思うんです。それから米づくりと一緒に育まれてきたいろんな生き物も一緒に育まれるような環境を創世していくのがこれから求められるお米づくりの形じゃないかなぁと思います。どっちか一つは選べないですね。

 カエルたちのために田んぼに畦に草を生やしてると、先輩にはすごく怒られます。「お前、なんで草刈りしないんだ!虫が来るじゃないか!」って。僕より年上の方々とは世代のギャップもあって。彼らはお腹が減って、ご飯がいっぱい食べたいという時代を経ているので、たくさんお米ができることはいいことだという世代。僕らの価値観はちょっと変わってきているのかもしれません。お米と一緒に生き物も育てましょう、っていう価値観を持っています。高校の先輩に「みんなちがって、みんないい」と詠う金子みすゞという詩人がいるんですけど、みんなにとって安心安全な里山の環境を提供するのが僕の役割だと思っています。

 

私たちがかえるたちから学べることって、いっぱいありそうですね。

 里山文化って対立じゃなくて調和だと思うんですよね。多くの人に、カエルが一生を過ごす日本の里山、そしてカエルたちの生き様を見て欲しいなと思いますね。日々の生活や仕事の中でストレスがかかるところもあると思うけど、里山にきて、じーっといろんな自然を見つめたら、この時代に共に命を灯して生きられるって、けっこう素敵って思ってもらえるかもしれません。

 今ではいろんなところで「LGBTの人たちのも暮らしやすい社会」「マイノリティにも配慮しましょう」とあちこちで聞こえてきます。それぞれが互いのことを考えて生きましょう、と。いい時代ですよね。里山の生き物も一緒だと思うんです。安心安全に一緒に暮らして生きましょう、と。それでも世の中はわからないことだらけなので、いつもハプニングは起こり続けるんですけど。それが面白いんですよね。

田原さんの田んぼで作られた作物の一部は、フレッシュなうちにキッチンに届けられ様々な商品へと生まれ変わります。

米:フレッシュフェイスマスク『ドント ルック アット ミー』洗顔料『ハーバリズム

※「サシバプロジェクト」として田原さんの田んぼで作られた米を収穫した後のワラを活用し、バレンタイン商品のギフトボックス「サシバボックス」を作っています。収穫状況・時期により変更される場合があります。

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ラッシュ LUSH 渡り鳥 サシバ 日本自然保護協会 里山 秋吉台 カエル 絶滅危惧種 生物多様性 有機農業 無農薬
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