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難民申請者の生きる手段がさらに制限される状況に

難民とは、紛争や人権侵害などから自分の命を守るためにやむを得ず母国を追われ、逃げざるを得ない人たちのことです。

難民になる前は、私たちと同じように、仕事や家があり、大切な人との日常があった人たちです。反政府デモや民主化運動に参加したこと、改宗したこと、同性愛者など性的マイノリティであることなど、難民となる理由は様々です。

1951年に制定された「難民の地位に関する条約」では、「難民」を「人種、宗教、国籍、若しくは特定の社会的集団の構成員であること、又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという、十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの、又は望まないもの」と定義されています。

日本もこの難民条約に加盟していますが、日本は国際基準と比較すると、誰が難民なのかを決める認定基準や、公平性、透明性を確保した手続きの基準、難民の受け入れ体制などが不十分と言われています。また、難民認定の実務を法務省入国管理局が担っているため、難民を「保護する(助ける)」 というよりは、「管理する(取り締まる)」という視点が強いのが現実です。そして、難民問題に対する日本社会の認知もまだまだ広がっていません。

難民を治安悪化や社会のリスクとつなげるなど、難民受け入れに関する根拠のない誤解や偏見も、現状の厳しい受け入れ状況を後押ししているのかもしれません。現在、日本での難民認定率は1%未満に留まっています。

2017年10月31日付の読売新聞で、難民申請者の就労を大幅に制限する報道がありました。まだ「何も決まっていない」と法務省がコメントしていますが、報道を前提に認定NPO法人 難民支援協会はコメントを発表しました。

「まず、大前提として、難民申請中に最低限の生活保障が確保されることは不可欠です。すでに、ホームレスとなる難民申請者がおり、政府の生活支援が十分でないなかで就労が制限されるとしたら、難民申請者は生きていかれない状況に追い込まれます。就労許可であれ生活支援であれ、平均3年かかる審査の待機期間中は、最低限の生存を確保すべきです。 今回の報道によると、法務省は「明らかに難民に該当しない申請者(31%)」の強制収容や、「再申請者(14%)」の就労を原則認めないとしています。これは、2015年9月、法務省による「濫用的」難民申請の制限等を目指した運用見直しに関する概要発表から始まる一連の動きです。」

「今回報道された法務省の分類を前提とすると、難民である可能性がある55%への対応こそ重要です。難民認定率1%未満の日本の厳しい制度において、本来救われるべき人が再申請や裁判まで行い、5年、7年かかりやっと認定を得ている状況の改善に取り組むべきだと考えます。」

【特定の在留資格の定申者の利を制限することについて】

難民申請を目的に国外に逃れる際に、そのためのビザが存在しない以上、難民は観光など別目的のビザを取得した上で他国に入国します。よって、入国時の在留資格と本人が難民であるかどうかは無関係であり、在留資格の種類に関わらず、難民かどうかの判断は個別にされなくてはなりません。事実、これまでには、今回取り締まりの対象となった「技能実習」、「留学」の在留資格で滞在し、難民申請をした人で、難民認定を受けた人たちもそれぞれいます。例えば、圧政を受ける少数民族が留学生として日本へ入国した場合などです。また、日本に入国後、難民となる事情が生じ、難民申請をする場合もあります。従って、特定の在留資格を持つ難民認定申請者を対象に取り締まるのは難民の実情に即しておらず、濫用を防ぎ真に保護が必要な難民を救うという趣旨からも外れているとJARは考えます。

【難民申請中の生きる手段が限定的であること】

現在、難民申請の審査にかかる年月は平均2年4ヶ月です。その間、就労が認められない難民認定申請者へは、政府による生活保障が必要です。

「現状では、困窮する難民認定申請者は、外務省が管轄する生活困窮者むけの保護費受給の対象となりますが、その支援体制は十分ではありません。「個別難民が庇護を求めてきた時点から第三国に出国するか又は我が国で難民認定を受けるまでの間、衣食住に欠ける等保護を必要とする者に対し、必要な援護を行うための予算措置を講ずる等援護体制を整備する必要がある」とする行政管理庁からの勧告があるように、保護費の対象者が増えるとすれば、予算措置を含めた喫緊の対応改善が必要です。就労を認めず、最低限の生活も限定的であるが、難民申請は妨げないというのは、実質的に難民申請をする権利を否定することにつながりかねません。JARでは繰り返し指摘していますが、難民申請中に政府からの支援金が限られる以上、長い審査期間を生きていくために就労すること自体は必要不可欠です。以上に鑑み、JARとしてはこの議論においては正確な数字、実態、透明性をもって議論が進んでいくことを期待し、JARとしてもよりよい難民保護を目指す立場から議論に寄与していきたいと考えています。」

難民問題とは、難民自身の問題ではなく、その周りの社会が難民を受け入れられるかが問われる問題です。多くのものを失ってきた難民申請者の中には、新たな土地で、尊厳を持った一人の人として社会に受け入れられることを望んでいる人たちがいます。私たちが暮らす社会には、すでに多様性が実在しており、多様性が尊重される組織や社会は、より豊かで、繁栄したものになるとラッシュは信じています。壁や違いを越えて、他者を受け入れることができる社会の実現に向けて、ラッシュは難民支援協会の活動を応援しています。

 

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