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FEATURED

再生可能なネロリを探して

柑橘系の爽やかな香りと肌を引き締める働きで知られ、高揚する華やかな香りで昔から人々を魅了し続けているネロリのエッセンシャルオイルが今、世界的な需要増加に伴い供給量不足に襲われています。ネロリを原材料に使うラッシュにとって、これまで以上に“リジェネレイティブ(再生可能)”で、環境に負荷をかけないネロリのサプライヤーを探すことが求められていました。

 ネロリのエッセンシャルオイルは気分が高まる香りとして、今日多くの化粧品に使われています。このオイルは優雅な香りのする白いビターオレンジの花から抽出され、髪や肌のバランスを整え、気持ちにも働きかけるなど多方面から私たちの体を元気にしてくれると言われています。また、ネロリは古くから使われていたことが文献にも残っており、科学がまだ発達していなかった時期からその抗菌性と抗酸化作用の高さで知られ、疫病の治療や熱を和らげる薬としてあらゆる治療に使われていました。医療が発達した現代社会に生きる私たちが疫病と戦うことは少なくなりましたが、あらゆる汚染から肌を守ったり、肌の再生速度を早めるといった、私たちの体を守ることが期待できる特性をもっていることから、ネロリは今日でもあらゆる製品に使われています。

 

17世紀のファッショニスタたちが欲しがったネロリ

 ネロリのエッセンシャルオイルが有名になったのは17世紀にイタリアの都市、ネーロラに実在したブラッチャーノ公妃マリー・アンヌ・ド・ラ・トレモワイユ(1642-1722)が好んで香水の代わりにネロリのオイルを使っていたことに由来すると言われています。影響力があり市民から愛されていた公妃を真似しようと、当時のファッショニスタたちがこぞって彼女を真似してネロリのオイルを使い始め、のちにヨーロッパ中の貴族をはじめとする多くの人に伝わり、愛されていました。マリーアントワネットやナポレオンもネロリの大ファンだったようで、デイリーユースの香水やアフターシェーブのローションとして愛用していたそうです。

 “幸せホルモン”として知られ、自然と私たちの気持ちを引き上げてくれる物質、セロトニンの分泌を増やす効果があると言われていることから、ネロリは主に香水に使われています。そしてネロリ特有の気持ちを高めてくれる華やかな香りは他のフレグランスとの相性も良く、香水を身に纏った後も長時間香りが続くことも特徴です。

Neroli tree
Neroli flowers

 

世界的に高まるネロリの需要

 このようにその使い勝手の良さから人気の高いネロリですが、故に今日その需要に供給が追いつかなくなっています。たった1ポンド(約450グラム)のエッセンシャルオイルを作るには、少なくとも450キロほどのビターオレンジの花を蒸留する必要があり、この生産量が限られたオイルを世界中の化粧品会社やアロマテラピー産業で奪い合っているのが現実です。ネロリは北アフリカ地域、特にエジプトが主要な生産地として知られていますが、そのエジプトの生産量でさえ年間約1,200キロに限られています。

 ラッシュでは、2005年以降年間およそ700キロほどのオイルをチュニジアにある家族経営の契約生産者から購入しています。ご存知の方もいるかもしれませんが、ネロリのエッセンシャルオイルはラッシュにとって重要な原材料であり、私たちの信念に基づき、できる限り環境や生産者に負荷・負担をかけず、かつ高品質なネロリの生産ルートを確保することがこの先の商品づくりにおいて重要な課題として挙げられています。

 そして世界各地の天候状況や条件を検討した結果、ラッシュではレバノンを新たなネロリの仕入れ先に選びました。レバノンの気候は、暑く乾燥した夏と引き締まるような寒い雨が続く短い冬が特徴で、年間を通してビターオレンジの栽培に適した条件が整っています。さらに国の主な輸出物としてすでに柑橘類が名を挙げていました。

 ネロリの購入先をレバノンにした2つ目の理由として、ビターオレンジを使ったフラワーウォーターがデザートの香りづけや消化不良を治す自然療法の飲みものとして国内で普及していたことがあります。通常はフラワーウォーターはネロリを使った製品を作る際の副産物として生産されますが、ここでは、ネロリオイルが、フラワーウォーターを作る際の副産物となります。そしてフラワーウォーターは蒸留法という環境にも負荷がかからない手法で作られるので、安心して既存のフラワーウォーター生産から抽出されたオイルを手に入れることができたのです。

 3つ目の理由はこの地域からネロリを購入することで地域コミュニティや地域経済のサポートをしながら、この地域で起こっている渡り鳥の違法狩猟の問題の改善に向けてアクションを起こしたいと思ったことがあります。ラッシュが原材料を購入する際、生産量や供給体制のサステナビリティのほか、その生産地の周辺環境に生息する野生動物やエコシステム、その地域で暮らす人たちが自然の循環を考えた営みを行なっているかどうかも加味しています。

 今日、レバノンではバードハンティングによって年間2,600万羽ほどの渡り鳥が違法に狩猟されることが問題視されています。ラッシュでは、その土地や果樹園が一切狩猟を行なっていないことを約束している農家のみと提携し、原材料であるビターオレンジの花を購入します。そしてレバノンのみならず世界中で確認されている少なくとも399種、数千万の鳥を保護する活動をしている国際環境NGO「バードライフ・インターナショナル」と協力し、この条件が守られているかどうか、細心の注意を払いながら農家の選定を行なっています。そして契約まで至った農家から購入したビターオレンジの花は、何世代にも渡って伝統的な蒸留法でオレンジウォーターを生産している小さな家族経営の生産者に運ばれ、銅製の蒸留釜で抽出したオレンジウォーターとエッセンシャルオイルが生産されます。彼らの熟練した専門性やスキルによって最高品質のオイルが抽出されるだけではなく、レバノンの地域経済をサポートすることもラッシュにとってとても需要なポイントです。

 ラッシュがこのような関係を生産者と築くことは、ネロリの国際的な需要を減らすことには直結しないかもしれませんが、信念を共有し、本当に信頼がおけるビジネスパートナーとしての生産者とリジェネレイティブな関係を構築することで、最終的にはお客様や地域コミュニティのためになる重要なステップだと考えています。

 

Words by Rachel England

 

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