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FEATURED

Soapbox: 電気を選んで社会を変えよう! パワーシフト

言論の自由はとても大切な権利。「Soapbox」は、社外の専門家に依頼し、見識や解説について寄稿いただく場所。今回の執筆は、「パワーシフト・キャンペーン」事務局の吉田明子氏。2016年4月に始まった電力自由化により電気を選べるようこの時代に、パワーシフト・キャンペーンのポイントをお伺いしました。

 

国際環境NGO FoE Japanの吉田明子です。福島第一原発事故以降、原発やエネルギー問題に取り組んでいます。2015年の3月から、電力自由化にむけて再生可能エネルギーを重視する電力会社を選ぶ人を増やそうと、環境団体や消費者団体で「パワーシフト・キャンペーン」を立ち上げました。

2016年4月から始まった電力小売全面自由化。その市場規模は8兆円、うち約7.5兆円は、一般家庭です。以前はすべて大手電力会社に支払われていたこのお金が、再生可能エネルギーを重視する電力会社にどれだけ切り替えられるか。 私たちが消費者として力を発揮するときです。

 

◆小売全面自由化への期待と懸念

そもそも、日本のエネルギー政策は、電力では原発と石炭火力をベースロード電源として活用し、2030年に原発の割合を20~22%、石炭火力を26%にしていくというものです。2017年〜2018年のエネルギー基本計画見直し議論でも、「再エネを主力電源化」としているものの、原発も相変わらず「重要電源」としています。原発は現状数基しか稼働していない事実もふまえて、ほぼ非現実的数値な見通しであり、一方で省エネルギー・再生可能エネルギーの目標はまったく不十分です。

温室効果ガスの削減目標も、このエネルギー政策をもとにしたものです。

2015年12月のCOP21パリ会議では、すでに多くの被害をもたらしている気候変動を止めていく必要性が世界で合意され、世界はすでに「脱炭素」の方向に大きく舵を切っています。日本の原発・石炭火力推進(=省エネ、再エネは不十分)の方向は、この合意にもまったく逆行するものです。

一方で、電力小売全面自由化で、価格競争が起きるため、「価格が安い」とされている石炭火力発電所の新規建設計画が、2012年以降非常に増えています。気候ネットワークの「石炭火力発電所ウォッチ」によれば、現在40基以上、2,000万キロワット(原発約20基分)の計画があり、これらがすべて建設されれば「2030年に石炭26%」の量さえも超えてしまいます。

電力業界も自主的に「温暖化対策」を行うことになっていますが、その内容は、石炭火力発電を新増設する一方で、クレジット(※)購入や「非化石電源」で相殺しようというものです。「非化石電源」とは再生可能エネルギーだけでなく原発も含むものです。

電力小売全面自由化で目先の「安さ」ばかりが追求されると、原発と石炭火力への流れをさらに加速してしまうことが懸念されます。だからこそ、大きな構造を変えていくためには、持続可能な社会をつくるビジョンを持って省エネルギー、再生可能エネルギーを重視する電力会社を消費者の声で応援し、後押ししていく必要があるのです。

 

※J-クレジット制度:別の場所での省エネルギー・再生可能エネルギープロジェクトでCO2削減した分を証書として購入し、その事業者が購入分のCO2を削減したとみなす制度。

 

◆再生可能エネルギーを重視する電力会社とは?

では、「再生可能エネルギーを重視する」電力会社とはどのようなものでしょうか?パワーシフト・キャンペーンで注目すべきと考えているポイントは5つあります。

1.電源構成や環境負荷、などの情報を一般消費者に開示していること
「電力小売営業指針」(2016年1月策定)では、各電力会社が電源構成などの情報を開示することについて「望ましい行為」とされています。義務ではないので、開示していないところもあります。
今後わかりやすい開示がさらに進むよう、消費者として引き続き呼びかけていく必要があります。

 2. 再生可能エネルギーの発電設備(FIT※を含む)からの調達を中心とすること
ただし現在、各社とも再生可能エネルギー(FITを含む)電源の調達に苦心しています。まだまだ日本の再生可能エネルギーの割合が低く(2016年に大型水力含めて約15%)、そのほとんどを既存大手電力会社が持っているからです。新規建設や新規調達は、一筋縄ではいきません。 そのため「再エネ(FIT含む)○%以上」と線引きするのは今後の検討事項ですが、できる限りその割合を高める取り組みを評価、応援していく必要があります。

3.原子力発電所や石炭火力発電所からの調達はしないこと(市場調達分等は除く)
原発は問題外!でも、石炭火力発電も、前述のように要注意です。加えて大気汚染・健康影響の問題もあります。

4. 地域や市民による再生可能エネルギー発電設備を重視していること
大都市に拠点を置く大手企業が実施するプロジェクトよりも、地域の自治体や企業、市民などが主体となったプロジェクトの方が、地域でのお金の循環や雇用創出につながります。また大規模プロジェクトでは、環境や景観への影響が懸念される場合もあります。市民共同発電など、地域の資源や環境を重視しているところを、より評価する必要があります。

5. 大手電力会社と資本関係がないこと(子会社や主要株主でない)
既存の大手電力会社も再エネ中心の子会社をつくっていますが、電力の大きな構造を変える観点から、この項目を設けています。

これらの方向性を目指す電力会社がすでに全国各地で現れており、パワーシフト・キャンペーンで紹介・応援しています。

 

※FIT:「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」のこと。再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度です。

 

◆具体的にどういう電力会社があるの?

経済産業省に小売電気事業として登録している電力会社は、500社近くになり、電気料金などを比較するウェブサイトも複数あります。ただ、価格比較サイトや各社のウェブサイトの内容だけでは、会社の姿勢や現状について、必ずしも十分に知ることはできません。そこで、パワーシフト・キャンペーンでは、電力会社にヒアリングし、「特徴」や「苦労していること」、「目指すところ・ビジョン」などをお聞きするようにしています。キャンペーンの重視する上記の「5つのポイント」に沿った方針を相互に確認できた事業者について、ウェブサイトで紹介しています。例えば、自治体系の電力会社、地域重視の電力会社(民間事業者主体)、生協系電力会社、広い地域で展開している再エネ電力会社などがあります。2018年4月現在25社、ほかにも注目しているところが複数あり、今後追加していく予定です。

パワーシフト・キャンペーン「電力会社紹介」 

 

多くの市民が、再生可能エネルギーの電気を使いたいと願っています。「電気料金の支払い」という具体的な意思表示の形にすれば、それは少しずつ電力業界を変えていく力になります。私たち自身で未来をつくっていくことができる大きなチャンスです。「安さ」だけで選ぶ負の側面も念頭に置いて、再生可能エネルギーを重視する電力会社を応援していきましょう!

「電気を選べば、社会が変わる」。
その一歩を、あなたも始めませんか?

 

著者:吉田明子
2002年よりFoE Japanでインターン、ボランティア。リサーチ会社勤務をへて2007年より国際環境NGO FoE Japan、気候変動・エネルギー担当。311以降は福島や原発・エネルギー問題に携わる。脱原発のネットワーク「eシフト」やパワーシフト・キャンペーンの事務局も担当。

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