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木を植えると、人と生態系に明るい希望が待っている|Soapbox #SOSsumatra

言論の自由はとても大切な権利。イギリスではその昔、木製の石鹸箱に乗って、政治的な街頭演説をする習慣がありました。そこから、Soapboxという言葉が「即席の演台」「自由に意見を述べる場」という意味で使われるようになったのです。ラッシュのSoapboxチャンネルでは、社外の専門家に依頼し、見識や解説について寄稿いただいています。

今回は、スマトラの熱帯雨林の再生に追力するSumatran Orangutan Society(SOS)のディレクター、ヘレン・バックランド氏に昨今の状況をお伺いしました。

***

 野生のスマトラオランウータンの生存数は、絶滅の一歩手前まで減少しています。彼らが何世代にも渡って住んでいた熱帯雨林は農作地や道路インフラのために破壊されつつあります。動物界において我々人間にもっとも近い遺伝子を持つとても穏やかな性格のオランウータンは今、まさに絶滅の縁に立たされているのです。スマトラオランウータンの保護に追力している団体、SOSは、この状況を変えるべく、日夜オランウータンやその他スマトラの熱帯雨林に住む多様な生物のために活動しています。

 ある時私はグヌンレウセル国立公園の境に立ち、幾重にも続くパーム油畑を眺めていました。畑の土は乾き、ひび割れていて、鳥のさえずりさえも聞こえないほどに静まり返っていました。世界でも稀に見る生物多様性で有名なレウセル保護地域を背に、目の前は荒廃した土地が広がっていたのです。

 当時、SOSが新たにサポートするプロジェクトの視察でスマトラを訪れていた私は、この景色に恐ろしく狼狽しきってしまいました。私たちはその熱帯雨林に青々と生い茂る草木を取り戻すという強い決意をして活動を始めたのに、現実は甘くなく、叶わぬ夢なのではないかと突きつけられているような気分になったのです。

 同時に、森ではチェンソーの音が聞こえてきました。この音がさらに私を絶望の淵に追いやり、気を滅入らせます。国立公園内でチェンソーが聞こえるとき、それは違法に育てられたパーム油が収穫のために切り倒されていることを意味しているのです。

 私たちの姉妹団体であるOrangutan Information Centre (OIC)は、パーム油の製造企業によって盗まれた500ヘクタールもの国立公園の土地を取り戻し、あるべき姿に戻す活動をしていました。私はこのやせ細ってしまった土地に、熱帯雨林の在来植物でありオランウータンが大好きなドリアンの種をひとつ植えて、それが生き残ることを願いました。

 2年後、種を植えた場所に戻ってきました。そこには植物が生い茂り、私は木陰のなかにいたのです。目を瞑ると、この土地が命を吹き返したことを知らせる様々な生命の音が聞こえてきました。テナガザルや鳥が鳴いていたのです。チームメイトは、前日に象が森の中を横切ったことも教えてくれました。保護林が元あるべき姿に戻りはじめていたのです。 
それから少し経ち、イギリスに帰った私はオランウータンがレウセル保護地域に帰ってきた知らせを受けました。地球の裏側にあるオフィスで私は一人笑みを浮かべながら、このオランウータンが「私」の植えたドリアンの木で休んでいることを願ったのです。

 農作地を作るために森を壊すということは、本来あるべき自然のバランスを壊すことなのです。すなわち、数えきれない多くの種類の生物が生息地を取り上げられているということでもあるのです。ハラバンという村の近くにある森がパーム油畑になってしまったとき、近くの川は干上がり、村の農作物が育たなくなってしまったという事例があります。周辺地域に住む人たちは森林伐採がもたらす破壊的な影響を熟知しており、森を再生して元の状態に戻す私たちの活動にはとても好意的でした。さらに彼らは、Protectors of Leuser(レウセルの門番)というグループを立ち上げ、国立公園内の一角で森の再生と保護活動を管理し続けてくれたのです。人間の手によって枯れ果てたこの土地が少しずつ成長し、私たちが森に設置したカメラには、オランウータンや象、マレーグマや他にも多様な生物が還っている様子が映っていました。

 熱帯雨林を再生するために、木を植える。それは森林保護活動において非常に重要なことです。しかしながら私たちはもっと先を見据え、自信を持って長い目で森の保護活動を行うにはどうすればいいかを考えていかなければいけません。

 人や企業のために森林伐採が行われてる地域では、植林をしたり、森林保護地であることを知らせる立て看板を置くだけでは問題が解決しません。私たちは、木々や人間の手が加えられていない原生林が、今あるそのままの状態で、自然のエコシステムの中で機能するようにきちんと管理していかなければいけないのです。

 私たちが木を何本植えようと、森林再生においてもっとも重要なのは、森の近くに住む住民やコミュニティが保護活動に密に関わることです。それによって、森を守り、将来起こりうる森林破壊に導きかねないあらゆる危機から森を守ってくれるようになることなのです。

 私たちの活動は、ただ木を植えて育てるだけではありません。スマトラの現地チームが地域コミュニティとの関係性を強化していくことで、住んでいる人たちにエコシステムの守護者になってもらう教育事業も行っています。

 木を植える行為は、希望のシンボルであり、スマトラの森、野生動物、周辺コミュニティの明るい未来を示しているのです。

#SOSsumatraの活動についてもっと詳しく知りたい方はこちら

Photo credit: Gita Dafoe

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