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Trash or Treasure? “ゴミ”で終わるか“宝”となるか

また使えるなら「ゴミ」ではなくて、「資源」として使えるまで使う。再利用できる資源は「宝」だから。

リサイクルという言葉が市民権を得てから、どのくらいの年月が経つでしょうか。リサイクル自体は「良いこと」と認識されている日本社会。ペットボトルに限って言えば80%以上のリサイクル率を保つ世界の中でも優秀な国ですが、資源を「ゴミ(trash)」とするか、再利用する技術と創造性を追求して「宝(treasure)」とするか。ゴミをただのゴミで終わらせることなく、「資源」に変える企業が国内に存在します。再利用できる「宝」の裏側を探りに、まさしく宝探しの旅に出かけてきました。

進栄化成株式会社は、埼玉県春日部市でプラスチック由来の再生原料の製造・販売をしているリサイクル会社です。自動車メーカーや食品メーカーの工場にて製造過程で出るプラスチック廃棄物を回収し、粉砕、洗浄をした後、溶かしてペレット状に成型し、原料として成型メーカーに販売しており、ペットボトルのキャップ回収量では日本を誇る会社です。1970年、進栄化成が設立した当時、プラスチックはまだ貴重な資材でした。「一回使って捨てるのはもったい。かつ石油は枯渇資源であるから大切に使いたい」という設立者の考えのもと、会社設立以来一貫して「限りある資源を繰り返し利用しよう」をモットーとしています。

「20世紀、人類は自然の資源を利用して大量に物をつくり、これに伴って大量の廃棄物を生み出しました。 21世紀は、この廃棄物を繰り返し利用して物を作ることを推進し資源循環型の社会へと変えていくことが必要不可欠となっております。」(進栄化成株式会社ウェブサイトより)

石油由来のプラスチックは、その素材自体が悪者扱いをされることもありますが、軽くて丈夫、熱を加えれば簡単に形を変えることができ、かつ時間が経っても品質の劣化の度合いが少ないという特性を持っています。かつてはバージン素材でプラスチック製品を製造するのは高いコストがかかりましたが、時代の流れとともに技術は発展し、そのコストも下がり、私たちの生活の中でプラスチックの使用量は増加していきました。それに伴い、かつては上記のようにプラスチック製品を作っている工場にて製造過程で出たプラスチック廃棄物を買っていた進栄化成ですが、近年では消費者の間でリサイクルが定着化してきたことから、ペットボトルのキャップなど、一度製品として使われた使用済みのプラスチック材(post-consumer recycled plastic)を扱う量も増えていきました。

「15年くらい前から『環境への配慮』『CO2排出量』という言葉が多く使われ始めました。石油は後20-30年で無くなると言われてから、限られた資源を大切にしようという言葉が一周して戻ってきた」と語るのは進栄化成株式会社の代表取締役、進藤浩氏。

上記のような特性を持つプラスチックのリサイクル、再利用については、賛成・反対双方の意見があることもまた事実です。例えば、プラスチック材のリサイクルを推進する人は、資源の有効活用という点で、枯渇資源である石油由来の製品をできる限り使い続けたいと願い、またゴミとして焼却することで、焼却時に二酸化炭素を含む温室効果ガスが排出されることを危惧します。反対にプラスチックを再生させるなら燃やした方がよいと考える人は、焼却時に発生する二酸化炭素と、リサイクルの過程(輸送、再生材の製造)で生じる二酸化炭素を比較し、前者の方が環境への負荷が少ないという考えを持っているかもしれません。ゴミ焼却の際に発生する熱エネルギーから発電する技術、焼却炉自体の進化もありますが、ゴミとして焼却する場合、結果として新しいプラスチック製品を作るために海外から原油を輸送しなければならず、その輸送を含め新しくプラスチックを製造する過程で発生する二酸化炭素も、地球環境へ負荷がかかっていることを忘れてはいけません。

プラスチックのリサイクルには、他にも難しさがあります。そもそも種類が多いプラスチック(「ポリエチレンテレフタレート(PET)」、樹脂が糸になると「ポリエステル」など)は、分別して再生材を作るのが難しいと言われていました。今では技術が進み、機械の調整など人の手が加わることもまだまだ必要ですが、今日進栄化成では機械を使ってペットボトルのキャップの分別を行っています。全て消費者に任せることはせず、事業者側でも努力をし、リサイクルにおいて正しい分別を経て、人の手の温かみが加わり、再生材は作られています。

2017年6月現在、進栄化成も会員である全日本プラスチックリサイクル工業会には140社が加盟しています。会員登録していない企業も入れるとプラスチックのリサイクルに従事する企業は国内に200から300社あると言われています。「それでもプラスチックリサイクル会社の中で、post-consumer recycled plasticの製造メーカーは自社を含め、二桁いくかいかないかではないでしょうか」と進藤氏は言います。そこには、再生材使用普及に対する難しさが社会の認識としてあるのではないかと進藤さんは語ります。日本はリサイクルにおいては優秀な国ですが、国連児童基金(ユニセフ)が2017年6月に発表した報告書「レポートカード14」によれば、気候変動や大気汚染などの環境問題に関する日本の高校生の知識は対象となる37カ国中36位です。ガラスや鉄と違い、素材として形を変えて再利用できるプラスチックは何に生まれ変わってたのか見えにくいのですが、「リサイクルボックス(あえて「ゴミ箱」と呼ぶのをやめてみました)の先の環境問題とその解決に自らが参画という意識にまで繋がっていないのかもしれません。

また、「リサイクル素材」「再生材」と聞くと、どこか低品質と思われるかもしれません。
「昔は”リサイクル”というと、『ゴミからできているんでしょう?』『汚い』などマイナスのイメージを持たれることも多かったのも事実です。消費者は再生プラスチック材、リサイクル品に対して抵抗がなくなってきていますが、再生材を使った製品に何かあればどうするのかということを懸念してメーカーの方がまだ積極的ではありません。」

それでも進藤氏は市場としてまだまだ可能性がまだあると考えています。
「競争の波に巻き込まれていってしまうから、技術力でカバーしながら、どんどん新しいことをやっていきたい。そうすれば世の中にもっとリサイクルが広がっていく。そうすれば、消費者の意識も変わると思う。」

そんな進藤氏のこの先のビジョンを最後に聞いてみました。

「リサイクル素材でプラスチック業界を変えてきたい。なかなか人がやらないことをやっていきたい。そうすればプラスチック、再生プラスチック材に対するイメージが変わると思う。必要不可欠な業界なんだと思われたい。」

そこにはリサイクルという宝探しの旅の先に、日本のものづくり魂が垣間見えた気がしました。

進栄化成 プラスチック リサイクル 再生材 キャップ
進栄化成 プラスチック リサイクル 再生材 ペットボトルキャップ
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