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Gorilla Perfumeが"唯一"な理由

2008年、イギリスのある雑誌がラッシュの創立者、マーク・コンスタンティンと、その息子であるサイモン・コンスタンティンを「ゲリラ・パフューマー(調香師)」として取り上げました。それを聞いたサイモンの弟・ジャックは「サイモンはゴリラみたいだから、ゲリラっていうより“ゴリラ・パフューム”だ」と冗談のつもりで提案。その呼び名がそのまま、パフュームコレクションの名称として残り、2010年、ゴリラパフュームの「ファーストアルバム」が発売されました。

「ゲリラ」、「ゴリラ」、その名前にも象徴されているように、このゴリラパフュームは他とは異なるユニークなキャラクターを持っています。ゴリラパフュームの核心は、他の何者でもなく香りそのもの。このゴリラパフュームを「唯一無二」なものにしている理由をご紹介しましょう。

1. ゴリラパフュームは、市場で量産されている香りの配合ではなく、自社で独自に創り上げたクリエイティビティの表現です。製造には品質の高いエッシェンシャルオイルを使用しています。

2. ミュージシャンやアーティスト、エコロジストや活動家など幅広い分野の人々からのインスピレーションやストーリーをもとに香りを調合しています。

3. パフュームの発売時、ギャラリー形式で発表しています。過去には、ストーンサークルを利用したり(今もまだイギリスのパーベック島に残されています)、魅力的な裏話を持つ貯水タンクを利用したりしました。

 

The men - その男たち

2016年にロンドンで開催されたLush Creative Showcareでマーク・コンスタンティンはこう語りました。

「ラッシュというブランドは、ある意味とても稀有な存在と言っていいでしょう。化粧品会社は通常、あまり自社でパフュームを作ることはありません。IFF(International Flavors and Fragrances Inc. / インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス:食品、飲料、パーソナルケア、ホームケア商品業界のために製造を行う企業)のような大企業の調香師は、不特定多数の誰かに向けて香りを開発しています。そんな通例からすると、我々は変わり者なのです」

パフューム業界は、自分たちが最悪の状態におかれていると訴えています。今までより短期間でパフュームを市場に出すよう、プレッシャーをかけられており、市場調査の重要さが増し、潜在アレルゲンへの規制(多くはパフュームの基礎となる自然原材料)がかけられています。この過程で苦しむのは、独創性のようです。

雑誌「リサージェンス&エコロジスト」の記事で、サイモンはこう話しています。「低価格競争が意味するものは、免税店などで売られている香水の一番お金がかかっている部分は綺麗なボトルだということです。ボトルの中の液体は、自然由来のエッセンシャルオイルとは、似て非なる安価な合成化学物質を混ぜ合わせたものです。こうした化学物質は少量使うには役立ちますが、コスト削減のため、現代の調香師はこうした合成香料に頼っており、その結果、大量生産のパフュームは、豊かな香りとクリエイティブな表現に欠けるのです」

このクリエイティビティが枯渇した状況において、ゴリラパフュームはそのアンチテーゼと言えます。父・マークと息子・サイモンの二人は、独学で調香を学びました。最初は必要に迫られての決断でした。既成の香料に払う資金が無い状態でラッシュが生まれ、自分たちで香りをブレンドして生み出す他なかったのです。それでも、ラッシュの一号店があるイギリス・プールのハイストリート29番地の仕事場での「実験」は、すぐにひとつの形となりました。マークとサイモンにとってパフュームの開発は、自分たちの気持ちをはっきりと表現し、自身の経験・体験に思いを巡らせる大切な方法となりました。

「言葉にも文字にもできない。香りにしかできないんだ」とマークは語ります。サイモンと共に作った最初の香りは、とても個人的な想い入れのある『ディア ジョン』でした。この香りは、マークが2歳のときに家族を捨てた実の父へ寄せたものです。父がどんな香りかを想像しながら、「その人の匂いが恋しくて、クローゼットの服に顔を埋めるイメージ」と表現しました。その後、マークは南アフリカで父に再会し、その思い出から『ダッド ガーデン』の香りを作ります。

 

The mixtures - 混ざり合うもの

マークの作るパフュームが体験によって形作られていくように、サイモンもヘッドバイヤーとしての仕事を反映しながら、調香をしています。調香師としての仕事場でも、ペルーに所有している6,000ヘクタールの森林の小屋でも、サイモンは情熱に溢れています。原材料の調達から得た彼の知識と専門性が、使われる原材料への深い尊敬の念として蒸留され、パフュームに注ぎ込まれます。これは、彼のパフュームへのアプローチ方法に最も顕著に見られます。「パフュームは、私が考えつく限りのあらゆるクリエイティブな業界のどんなものより多様性がありワクワクする、深く複雑な原材料が集まった世界」とサイモンは言います。

サイモンの独特な嗅覚の旅の始まりは、『Breath Of God / ブレス・オブ・ゴッド』で実を結びました。これはサイモンがチベットを訪れた旅からインスピレーションを受けて作られたパフュームです。スモーキーでスパイシーなサンダルウッドとベチバーに、華々しいローズと明るいグレープフルーツと合わせた香りです。著名なパフュームガイドブック「パフューム:AtoZガイド」の共同著者、タニア・サンチェス氏は、素晴らしいレビューと共にこのパフュームに最高評価の5つ星を与え、こう言葉を添えました。「この香りは、肌に纏うと驚きを覚える。香水の競争がこんなに進んでも、これほど深みのある開発ができるとは」。

商品開発と原材料の関係は軽視されるべきではありません。購買方法を変えるということは、考え方を変えることに他なりません。パーマカルチャーの実践から、地域、そして世界中のサプライヤーとの直接の関係構築、最高級の原材料をエシカルに仕入れることは、型破りな商品開発に役立つのです。

「ラッシュのアイテムでお風呂に入れば、純粋なローズのエッセンシャルオイルのお風呂に浸かっていることになるのです」とマークは言います。「正確にはわかりませんが、過去100年ほど、誰もこんなことはしてきませんでした。お風呂のためにこんな素晴らしい原材料を使用するなどということは、なかったのです」。

ゴリラパフュームにも同じことが言えます。パフュームにおいても様々なエッセンシャルオイルが主役です。パーマカルチャーの原則がサイモンとマークの作品にも当てはまるのです。サイモンによると「パーマカルチャー的に言うと、複数の異なる種が交り合うことで土地は豊かになります。パフュームもまた、異なるものを混ぜ合わせたところに、良いアイディアが生まれる可能性が高いのです」。

 

The music - 音楽

音楽は、ラッシュの商品ラベルに記載されている原材料一覧に記載されていない唯一の原材料と言ってもいいくらい商品を作り上げるのに大切な要素です。『カルマ』の香りを徐々に作り上げる過程で、マークはClem Snide、Radiohead、Massive Attackといったバンドからインスピレーションを受けました。ラッシュの共同創立者でもあるマークの妻、モー・コンスタンティンへの気持ちを香りとして表現するときは、Leonard Cohenの曲「A Thousand Kisses Deep」に因んで『ワンサウザンド キスディープ』パフュームに名前をつけました。

音楽からインスピレーションを受ける性質は、もしかすると遺伝的なものなのかもしれません。サイモンがかつて『ザ・バグ』の香りを作っていたときも、コンセプトである監視が、Magnetic Manのダブステップの同曲名とぴったり合っていると感じたのです。

香りを開発する段階では音楽はつけられていませんでしたが、シタールの天才、シーマ・ムクヘルジが『シッキムガールズ』へ捧げる美しい曲を書き上げ、ミュージシャンのジョン・メットカルフェとLUSH SPAの音楽の編曲も担当しているサイモン・リッチモンドが『Set in Stone / セット イン ストーン』と呼ばれる6つの香りに添える素晴らしいアヴァン・クラシカルな音楽を生み出しました。このような香りのシリーズを発売するすることは、アルバムを発売するここと似ているのです。

 

The mycelium - 菌の世界

2014年、ロンドンのソーホーの地下に突如現れたゴリラ・ギャラリーを訪れた人たちは、大きく広がるカーペットの上を歩くことで菌の上を歩くような体験ができました。実際に歩くと、甘い香りがちりばめられた、まぎれもないマッシュルームのような香りが立ち上ります。この香りは「菌の世界」を表していました。大量に絡み合ったキノコ類の菌糸です。土の中で、菌はネットワークとして働き、植物の根と共生関係を築き、土壌を再生する驚くべき能力があります。パフューム『マイセリウム』の香りは、まだ世の中に出たことはありませんが、ゴリラ・ギャラリーの他の体験と切っても切り離せないものです。

まるで写真家や作曲家、肖像画家や音楽家がそれぞれの手段でアートを創り出すように、調香師も香りという手段でアートを創り出します。ゴリラパフュームはただの香水ではありません。インスピレーション、ストーリー、調香師の経験の結集なのです。

 

ラッシュ ゴリラパフューム
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